たんたんターン 京都府

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Post Date / 2024.02.14 Wed

里山と都会を見比べて~行動からわかるもの~


綾部市は、山林や田畑に囲まれながらも都市機能も備わる田園都市である。
その中で、地元新聞社への勤務と農業を営む平田佳宏さんは、里山の風景が広がる上八田町に住居を構えている。
米や野菜などの食料はもちろん、薪ストーブに使用する薪を自分で揃える里山での生活は毎日が忙しい。
平田さんは、香川県に生まれ、東京と大阪、奈良での都会暮らしを経て、現在の町に移り住んだ。里山での生活は、都会の生活とは違う大変さがある。平田さんが里山での暮らしを選んだ理由とはなにか、そこで得られるものとはなにかについて伺った。

「得られるものと行動力」
平田さんは、里山での生活で二つのものが得られたという。一つは、生活の充実だ。自分が食べている食材が、どのような経路で作られているか疑問を抱き、自分で米や野菜を作ってみることにした。もちろん、手間も時間もかかるが自分で作ったものを食べるときの感動は格別だという。
もう一つは、多くの人との出会いだ。平田さんは、新たなことを始めるときは人との出会いや繋がりを頼りにしてきた。ここで大切になってくるのは行動力である。いかに自分から行動するかによって、仲間や情報の集まり方が違うという。しかし、「今の日本人は、他の人を頼りにするのが苦手なのかもしれない」と続けた。

「誰のための幸せか」
平田さんは、里山での生活を通して、今の社会の在り方にも疑問を持っている。里山での生活は、都会のような利便性はないが、そこに住む人たちはそれぞれの幸せを感じて暮らしている。
人間が生活をする中で、自然を都合の良いように変えてきた。そして、人間が荒らした自然を、元に戻すことが正しいのではないかと活動している人たちがいる。どちらも、自然に対し人間の都合で行っていることであり、「自然にとって必ずしも良いこととは限らない」と平田さんはいう。
そこに暮らす人の幸せは、そこで暮らす人が望む形である必要があるとつづけた。

【編集後記】
私たち高校生に「田舎と都会、どちらにも目を向けるべきだ」と投げかけた。
「どちらか片方だけに偏らず、どちらの良さも知らなければ、それぞれの本当の良さはわからないからね」と。
人を頼り、繋がりあうことは、里山での生活だけでなく、私たちの生活にも取り入れるべきだと私は思う。自分にとっての幸せの形が、相手の望む形とは違うということを平田さんの取材から学んだ。

(福知山高校/永田武史)