地元民が移住者さんにインタビューして作成!海の近くに住んでみたい、という方におすすめの2つの町をご紹介するコラムです。こちらでは京都府北部の「京丹後市」がおすすめの理由について、実際の移住者さんの声を交えながらご紹介いたします。
»伊根町編はこちら
海の近くでの生活に憧れている方はきっと多いことでしょう。でも実際のところ、どんな生活になるの?不便はないの?など、気になることも多いと思います。本記事ではそんな疑問にお答えいたします。
目次
海と山の豊かさが生活文化を支える京丹後市
京丹後市は、2004年に6つの町(峰山町、大宮町、網野町、久美浜町、丹後町、弥栄町)が合併して誕生した、京都府北部の海沿いに位置する人口約5万人の市です。 京丹後市は海や美しいビーチが有名で、日本の夕陽百選にも選ばれた温泉地「夕日ヶ浦」や、サーファーに人気の「八丁浜」などの有名な海水浴場があり、夏には海水浴客が、冬にはカニ料理を求める方がたくさん訪れる場所です。カニはもちろん、鯛やアジ、サバ、ブリ、牡蠣などの魚介類はやはり豊富。そして農業でも京野菜やフルーツの宝庫と言われており、豊かな土壌、豊かな海が町の生活を支えています。
また、江戸時代から続く伝統産業である高級シルク織物「丹後ちりめん」や、自動車・航空機・医療関連などの精密な機械部品を製造する機械金属業が盛んな町でもあります。
網野町へ移住してゲストハウスを開業した花岡さん
北海道ご出身で、東京・福岡・長野・京都市など日本各地に移り住み、はたまたタイやブラジル・インドなど世界一周するほどいろんな国での生活を経験された花岡さんご主人。ついに根を下ろすことになったのがここ、京丹後市網野町でした。もともとゲストハウスに興味があり、実際に働いていた経験もあるという花岡さん。この場所で開業され、完成したのが「Guesthouse Bench」です。
今回、この花岡さんご夫婦が取材に応じてくださいました。お二人のお話を交えながら、「海の近く移住」におすすめな理由を探っていきましょう!
おすすめの理由① 飛び抜けて海がきれい!
京都府にこんなに透明度の高い海があるとご存知でしたか?夏場、海水浴で京丹後市の夕日ヶ浦、八丁浜、琴引浜、小天橋などのビーチに訪れた方は、そのきらめく透明な海水に驚かれたことでしょう。
そして水が透明というだけではありません。小天橋から浜詰海岸までは、白い砂浜が約8kmにも及び「北近畿最大のロングビーチ」でもあります。そもそも京都府に海があるというだけで驚かれることもあるのですが、実はこんなに美しいビーチがあるんです。
移住された花岡さんも、やはり「海」は重要なポイントでした。
海という圧倒的な観光資源があることは、移住を決めた理由の1つでした。夏場、(ゲストハウスの)館内を掃除して汗だくになったあと、海に歩いて行って15分くらい泳いだりしています。
花岡さんのゲストハウスから八丁浜ビーチまでは、徒歩約5分。一生懸命仕事されたあとのクールダウン法になっているようですね!
町ごとにキャラクターが異なる海
京丹後市の中で海に面しているのは、網野町、久美浜町、丹後町の3つの町です。花岡さんご夫婦が移住されたのは網野町で、海沿いの町としては最も人口が多く、比較的便利な場所でもあります。3つの町、いずれも美しいビーチはありますが、久美浜町は湾になった地形、丹後町は断崖絶壁の地形があったりと、それぞれに特徴的なキャラクターがあります。
- 京丹後市網野町…ロングビーチ&温泉地もある海
- 京丹後市久美浜町…久美浜湾&ロングビーチな海
- 京丹後市丹後町…断崖絶壁やビーチなど変化に富んだ海
一言に「海」といってもその表情は場所ごとに異なりますので、あなた好みの海と地形に着目してみてはいかがでしょうか?
おすすめの理由② 物件や地価が安く、補助金も受け取れる!
移住者さんにとって最も気になるポイントの1つが住む場所、「家」についてのことかと思います。京丹後市には安価で手に入る物件があり、移住された方には補助金も支給されます。もちろん、物件価格は家の状態や築年数、立地によって異なりますが、300万円~500万円くらいで購入できる様々な物件があります。
移住補助金を140万円いただいて、下水をつなぐ工事に使わせてもらいました。
物件価格が安い、というと、ものすごい田舎なのでは?と想像されるかもしれません。もちろん、京丹後市の中でも人里離れた土地もありますが、花岡さんたちが移住された網野町や、海沿いから少し離れて南のほうにある峰山町、大宮町などは店舗も多くあり、複数の移住者さんが「生活に不便さを感じることはない」とおっしゃられています。
»京丹後の空家バンク物件はこちら
そして、京丹後市を含む丹後地方から京都市内までは、車で1時間半〜2時間程度。京都縦貫道1本で大きく南下できるので、実は都市部に向かうのも便利なんです。大阪・神戸へも2時間〜2時間半。高速道路が無かった頃は、いくつもの山を超えるので本当に時間がかかりましたが、今は京都・大阪は身近に感じるようになりました。
移住関連の補助金も用意されています
また京丹後市では空き家を購入した際のリフォーム費用の補助金のほか、若者のIターンやUターン、結婚や子育てなど様々な補助金があります。補助金をうまく活用して家を手に入れ、必要に応じて自分たちでもDIYして住居を整えていくのも、移住の楽しみの1つですね。
»京丹後市の補助金情報はこちら
ちなみに地元民としては、ここ丹後地方が端っこではなく「真ん中」という認識をされていたのは、ちょっと驚きでした。でも確かに、北海道などと比べれば日本の「真ん中」寄りだとは思います!
おすすめの理由③ 自然や四季を感じられる穏やかな生活環境
「きれいな海」がある時点で、自然豊かなことはお分かりいただけることと思いますが、京丹後市は海だけではないんです。ビーチがあるかと思えば、高原の森林公園があったりと海も山も川もある地形で、自然の要素はコンパクトにぎゅっと詰まった土地であることも特徴です。
田舎は癒やされます。以前住んでたところは、外国人がいっぱいでバスに乗れなかったり。スーツケースをゴロゴロ転がす音がいつもしてたりして。こっちは静かです。騒音がないのは、精神的に大きいですね。
天気が不思議、とおっしゃられているのは、丹後地方特有の気候「うらにし」のことです。気象の変化が激しく、晴れていたかと思えば急に雨になったり、またすぐに止んだりする、コロコロと変わる天気。当地域では「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらいに、突然の雨に備えるよう昔から語り継がれています。この気候は主に秋から冬にかけての季節によく見られます。
田舎暮らしの魅力「音」の静けさ
そして花岡さんに限らずですが、移住者さんは「音」のことをよくおっしゃいます。そして特に、都会の騒音と、田舎での自然の音や虫の鳴き声などを対比しておっしゃることが多いように思います。自然の中での暮らしを思い描く方にとって、実は「音」というのは重要な要素なのかもしれません。
ここ丹後地方の夜は、というと、木々のざわめきや風の音、ヒグラシの鳴き声、田んぼの近くならカエルの鳴き声、海の近くなら波の音、山の近くなら鹿が鳴く声も。どれも自然や動物の音がほとんどです。その音を心地よいと感じるか?うるさいと感じるか?それも人それぞれですね。しかし、多くの移住者さんが口を揃えて「静か」と言うのは確かです。
おすすめの理由④ 海鮮や野菜・フルーツが美味しい!
京丹後市には海も山も川もある。となると、食の素材が豊富!ということになります。山があることで水が浄化され、水が良くなることでお米や野菜も美味しくなる。実は自然環境の要素が詰まった土地だから、食べ物も美味しくなるわけです。
こっちに来て飲みにいく回数が減って、外食代とか娯楽費は減りました。
魚介、米、野菜、フルーツ、いろいろ揃う
海があるということはやはり漁業も盛んです。夏になると京丹後市の海では、水平線のほうに一際明るい光がいくつも灯ります。イカ釣り漁船の漁火ですね。これも風物詩と言えるでしょう。また釣り人も多いので、イカはもちろん、マダイ、チヌ、キス、カレイ、メバル、アジ、サヨリなど様々な魚を釣り、それが食卓に並ぶ家庭もたくさんあります。
お米に関しては「丹後産コシヒカリ」が常に食味ランキング上位を獲得。野菜では万願寺甘とう、伏見とうがらし、賀茂なす、京みず菜、金時にんじん、九条ねぎ、聖護院だいこん、紫ずきん等の「京野菜」をはじめ、大納言小豆、黒大豆などの豆類、いちご、メロン、桃、ぶどう、梨などの果物類が生産され全国に出荷されています。
魚介類はもちろん、米、野菜、フルーツと、様々な食素材が「1つの町でとれる」のが京丹後市の魅力の1つです。そして、地方ならではのおすそわけ文化で、野菜などを近所の人からもらうこともよくあります。
おすすめの理由⑤ 人が優しくて適度な距離感
「田舎は近所づきあいが面倒」だとか「地域の取り組みに参加していないと村八分にされる」といったようなイメージがあることをよく耳にします。実際のところ、どうなのでしょうか?
町の中に入った、という感じですね。今は町全体が仕事場みたいなイメージで、町で出会った人と一緒に「今年の夏も疲れたねー」とか言いながら。地域の人になったな、っていう感じです。
花岡さんのこのお話は、昨今の当地域の様子をうまく表現してくださっていると感じました。生活スタイルは人それぞれですので、地域コニュニティにどっぷり浸かってコミュニケーションを楽しむ人もいれば、ほどほどにしながら必要なことは協力し合う、という人もいます。現代では村のルールに従え!みたいな文化はなく、適度に距離感を保ちながらも、やはり地域の人同士、支え合って過ごしています。
移住者が口を揃えて言う「人が優しい」
京丹後市に限らず、京都府北部に移住した方々は、口を揃えて「人が優しい」と言ってくださいます。実際に、穏やかな人、おおらかな人が多い、ということは、地元に住んでいて日々感じていることです。もちろん人それぞれ個性はありますが、おしなべて、そういう人が多い地域であることは間違いありません。
移住を考える方に「調査拠点のすすめ」
花岡さんとお話する中で、1つなるほどと思ったことがあるので、シェアさせていただきます。
仕事を辞めたらローンも組むのが難しくなるので、働きながら新しい家を探すことになります。その間、移住先で滞在できる拠点があるといいと思います。
それを聞いて、「移住を考えている町に滞在して家探し、仕事探しなどをする時に便利な拠点」として、花岡さんたちのGuesthouse Benchも含め、リーズナブルに宿泊できる場所を見つけるのは有効だなと思いました。寝泊まりしてみることも、その町を感じる上で重要な体験になりますね。
ゲストハウスなどでの滞在はもちろん、空きがあれば、各自治体「お試し住宅」が用意されていることもあります。そちらを利用する方法もあります。
まとめ:海の近く特有の暮らしと豊かな文化を感じる京丹後市
京丹後市は、美しいビーチや豊かな自然、そして四季の風景が魅力の場所です。日本海に面したこの地域では、海水浴や観光だけでなく、冬のカニ料理や新鮮な魚介類を日常的に楽しむことができ、自然の恵みが移住生活を彩ってくれることでしょう。また、京野菜や果物といった農産物も豊富で、食の魅力も満載です。
静かな自然の中でリラックスした生活を送りながら、地域コミュニティと適度な距離感で交流できる京丹後市は、海の近くで田舎暮らしを実現したい方にとっておすすめできる移住先です。自然と共に過ごす暮らしを見つけたい方は、ぜひ一度、京丹後市の魅力を感じてみてください。