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Post Date / 2024.10.28 Mon

空き家を購入しての農業移住に京丹後市がおすすめな理由5選

地元民が移住者さんにインタビューして作成!田舎に移住して空き家物件を購入し、自然を感じながら農業をしたい、という方におすすめの2つの町をご紹介するコラムです。こちらでは京都府北部の「京丹後市」がおすすめの理由について、実際の移住者さんの声を交えながらご紹介いたします。
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農業を田舎で始める、といっても、全国無数に町はあります。それでも、ロケーションや生活感、町の人の人間性などは地域によって異なるもの。ご自身に合った地域選びのために、本記事が少しでもお役にたてば幸いです。

海と山の豊かさが生活文化を支える京丹後市

京丹後市は、2004年に6つの町(峰山町、大宮町、網野町、久美浜町、丹後町、弥栄町)が合併して誕生した、京都府北部の海沿いに位置する人口約5万人の市です。京丹後市は海や美しいビーチが有名で、日本の夕陽百選にも選ばれた温泉地「夕日ヶ浦」や、サーファーに人気の「八丁浜」などの有名な海水浴場があり、夏には海水浴客が、冬にはカニ料理を求める方がたくさん訪れる場所です。また海面からそそり立つ「屏風岩」や安山岩の巨大な一枚岩「立岩」など、山陰海岸ジオパークの特徴的な風景が見られる地でもあります。

対外的には海のイメージが強い京丹後市ですが、農業も盛んで、お米に関しては「丹後産コシヒカリ」が常に食味ランキング上位を獲得。野菜では万願寺甘とう、伏見とうがらし、賀茂なす、京みず菜、金時にんじん、九条ねぎ、聖護院だいこん、紫ずきん等の「京野菜」をはじめ、大納言小豆、黒大豆などの豆類、いちご、メロン、桃、ぶどう、梨などの果物類が生産され全国に出荷されています。

米、野菜、フルーツの宝庫とも言える京丹後市は、非常に農業に適した場所です。

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整骨院の院長が一念発起して農業移住した下林さん

下林さんは移住前、京都市で整骨院を開業し院長として、20年近く頑張っておられました。整骨院の仕事は、健康を取り戻していただく、元の状態に戻っていただく仕事。でも下林さんが患者さんの痛みを取り除くなかで徐々に気づいていったのが「健康の大部分は、何を食べたかが大きなポイントになる」ということだったそうです。

整骨院でいい状態に治られたとしても、頑張る人が多いから、日常でダウンしてしまう。そんな患者さんのために、栄養やミネラルが豊富な無農薬のお米や野菜が手軽に食べてもらえたら。いつかは自分でやりたい、そう思うようになったそうです。しかしご自身も超多忙で、休む間もなかったため、なかなかその想いは実現しませんでした。

そんな中、コロナ禍になって、多忙に走り続けてきた毎日に余裕ができ、我に返ったそうです。根本に自然を感じて暮らしたい。無農薬で農業をやれば、自然にも、體(からだ)にも良い。そして一念発起され、店を閉める通知を皆さんに出し、ここ京丹後市に移住されました。

そんな、人生の大きな決断をされた下林さんは、京丹後市での生活をどのように感じておられるのでしょうか?下林さんの実体験を交えながら、農業移住に京丹後市がおすすめな理由をご紹介していきます。

おすすめの理由① 畑や田んぼが人とのつながりで借りられる

田舎に移住して農業を始めたい。そんな方にとって、最初のハードルになるのが農地の確保かと思います。京丹後市では現在も農業は盛んに行われていますが、一方で高齢化等により、後継ぎの問題が浮上しているのも確か。耕作放棄地となって荒れた土地になってしまうと、地域にも悪影響を及ぼします。このため、農地を守っていかなければなりません。

移住された下林さんは、どのように農地を入手されたのでしょうか?

下林さん
今借りている農地は全部、主に研修の時に集まっていた地元の方々からの紹介です。地元の代表の方ばかりなので、情報も場所もご存知で、ここ知ってるよ、とか、そんなんやったらここがあるよ、とか。先ずは、春野菜(トマト、きゅうり、なす、唐がらし、ピーマン、万願寺とうがらし、キャベツ、枝豆)そして、大根やさつまいも。今年は、まずじゃがいもとさつまいもは作りました。
4月から念願のお米づくりができるようになったので、無農薬でどこまでできるか、江戸時代からのやり方で、試行錯誤でやっています。
これも、地元でのお祭りの時とか何気ない会話の中で紹介してもらえたものです。自由にやってもらったらいい、聞きたいことがあったら聞いてくれたらいい、農機具もあるものは使ってくれたらいい、と言ってくださるので、助かっています。

なんと下林さんは、地元の人との縁で、すべて紹介で農地を借りられたようですね。下林さんは移住の際、地元の農業研修に参加され、まずはそこで地元の農家さんと知り合いました。そのつながりから得られた情報で、農業を始めることができたようです。

それだけでなく、米作りがしたい、という話を地域の人たちと何気なくしている中で、自然に紹介されることもあるようです。下林さんが移住された丹後町は、京丹後市の中でも最も北側で、人口が少ない地域。このため、人と人との横のつながりが強く、逆に情報が早く伝達されるのです。

もちろん、下林さんのような方法で農地が見つからない方もいらっしゃると思いますので、新規就農や農地探しのことなども含め、まずは京丹後市の農業振興課にご相談いただければと思います。

おすすめの理由② 食材が新鮮で、近所同士で食材のおすそわけも

京丹後市は非常に面積の広い市ですが、どの町でも農業は行われています。とりわけ下林さんが移住された京丹後市丹後町は漁業が盛んで、中でも「間人ガニ」はブランドガニとして、冬になると多くの観光客が訪れます。

海のイメージが強い丹後町ですが、実は山が多いエリアでもあります。海と山がすぐ隣り合わせの地形なので食材の種類も豊富。米、野菜、魚介がそれぞれ新鮮な状態で手に入ります。

下林さん
近所の方が、自然の食材を色々とくださるんです。今日もさつまいもとかくださって、抜群においしいですね。もちろんみなさん、農薬とか、気になるものは使ってない。丹後町のこちらの地区は鮎もとれるので、鮎を焼いたのをいただいたりとか。自然のものが美味しすぎますね。
スーパーの魚もめちゃめちゃ綺麗です。あまりの差に冷凍ものが食べられなくなってしまいました。

野菜や魚等のお裾分けは、丹後町に限らず京都府北部では一般的によくある光景です。丹後町は自宅用に農作物を作っている人も多く、たくさん採れたら近所や知り合いに持っていく、というケースが頻繁にあります。

そんなお裾分けの野菜は、他府県まで流通されるものとは異なり、すぐそこの畑での採れたて。丹後町では小規模に栽培している人が多いため、無農薬で丁寧に作られている人も多いようです。

おすすめの理由③ 都会にないものがいっぱいある

田舎を表現するときに「何にもない」というフレーズがよく使われます。都会を基準に考えた場合は、その通りだと言えるでしょう。しかし、そこは価値や感性によって感じ方が異なります。便利なお店や娯楽がたくさんあったり、公共交通網が張り巡らされていたり、そんな都会の利便性は無くとも、「ある」と感じる方もいらっしゃるようです。

下林さん
皆さんおっしゃるんです、「何にもないで」と。無いことないですよね、いっぱいありますよね。都会にないものばっかりですよ。
山川田んぼ、鳥がしっかり飛んでいて、虫もいる。タヌキもいるし。海が近くにあって、夕日が綺麗なこと。夜は静かで静寂があって。風や雨は強いけど、そっちのほうが面白い。自然が織りなすシンフォニーみたいな中にいるので、それが面白いんですよ。
都会はオーバースペックです。スーパー・コンビニがいくつもあって、それでロスがでて廃棄するわけですよね。

下林さんは、京丹後市の自然が織りなす魅力を存分に感じられているようですね。確かに、これらはすべて都会にないものばかり。お金を払っても都市部では手に入らないものでしょう。都会にも夕日はあると思いますが、流れている空気や気候が違うので、その鮮明さや色の濃さ、鮮やかさが全く違うと言っていいと思います。特に京丹後市は日本の夕陽百選に選ばれるほどの夕日がきれいな海が見られます。

必要なものを、必要なぶんだけ。余ったらお裾分け

経済が発達した現代では、どちらかといえば「必要以上に作って、余ったら捨てる」文化になっています。丹後町を含め、田舎の農村ではもちろんそのようなことはなく、必要なものを必要なぶんだけつくる。それでも余ったらお裾分けです。もちろん、流通でよくある規格に合わない野菜や見た目が良くない野菜も、お裾分けならありがたくいただけます。

丹後町では「ロハス」や「サスティナブル」などと意識しなくとも、自然にそうなっているということですね。

おすすめの理由④ お試し住宅と安価な物件があり、補助金ももらえる

これは多くの田舎での課題ですが、現在空き家が増加して問題になっています。ただ、移住者側としては、古民家などの物件が安価に手に入るということで、古い家を改修して住みたい、という方にとってはチャンスと言えるかもしれません。下林さんが移住された京丹後市丹後町も例外ではなく、やはり空き家が増加傾向にあります。

下林さん
研修の時にこの場所が気にいったので、出会った方に「来ます!(移住します)」と言いました。空き家とかありますか?と聞いたら、空き家だらけやでーと言われて。ただ、まだ荷物が残っているところもあるし、ということで、まずは不動産屋さんに行って、隣町に住みました。
お試し住宅は1ヶ月借りました。その間に不動産屋さんを見てまわることができました。この家は先約の人がいて 、無理かと思っていたところ、キャンセルになったそうで、入らせていただくことになりました。
補助金もありました。京丹後市の空き家バンクに登録されている物件で、手直し(リフォーム)のための補助金をいただきました。

お試し住宅を、家さがしの拠点として活用されたようですね。確かに、他の移住者さんもおっしゃられていますが、空き家がたくさんあるとはいえ、家さがしは一定の時間がかかります。空き家といっても、本当に前に住まれていた方が出られたときのまま、というケースもあり、荷物がそのままだったり、傷んでいるところがあったりと様々です。

お試し住宅などをうまく活用しながら、家を探し、住めるようにするための期間を確保するのも大切ですね。


»京丹後市のお試し住宅についてはこちら
»京丹後の空家バンク物件はこちら

おすすめの理由⑤ 買い物も町中より恵まれている??

田舎の漁村・農村部で、町中より買い物が便利で恵まれている?というと、信じがたいことだと思いますが、下林さんはそう感じておられる面もあるようです。

下林さん
毎日毎日買い物に行きたい人ではなくて、1週間分あれば充分なので、あとはやりたいことをやっています。
必要なものは、トラックでの移動販売車が来てくれて、いろんなものが積んであるんですね。値段も良心的だし、全然不自由じゃないですね。生協のカタログを見ても、7〜8千種類はあるし。
下手したら、町中よりも恵まれているかもしれない。全部、持ってきてくれはるから。港で朝とれた魚とかも移動販売車で乗っけてくれているので、食べ物はめちゃめちゃおいしいですね。

なるほど、近年地域に貢献してくれている「移動販売車」がまわってきてくれるのですね!確かに、自分でスーパーに行かなくても、必要なもの、かつ地元の新鮮なものまであるとなれば、ある意味、町中より便利とも考えられます。

意外に品揃えがいいと言われる、移動販売車

車に乗る分くらいだから、品揃えは少ないのでは?と思われることでしょう。もちろん、スーパーに置いてある商品量がトラックに乗るはずはありません。しかし、移動販売車で買い物をした人、移住者さんも、地元の人も、口を揃えて「結構いろいろ売ってる」と言います。少なくとも、トラックで用意される商品量の想像は超えているということですね。

冷静に考えると、スーパーは品揃えがいいですが、その日のうちに売れないものも多数置いてあります。つまり、その都度必要なものはそれほど多くないとも言えます。

重たいものをスーパーなどから運んで帰ってこなくていいという意味でも、実は非常にコンビニエンスですね。

本当に美しい。京丹後市丹後町の海

京丹後市では、丹後町、網野町、久美浜町に海がありますが、それぞれ景観のキャラクターが違います。とりわけ丹後町は、切り立った断崖絶壁のリアス式海岸が特徴で「岩と海」の景色が絶景。かと思えば、立岩・後ヶ浜海水浴場ほか広い砂浜のビーチもあり、変化のある地形が見て楽しめます。

そして、地元でよく「丹後ブルー」と称される、海の色。丹後町の瑠璃色の海は特に深い色合いで、季節や日によって様々な表情を見せてくれます。そんな景色の中、断崖絶壁のすぐそばで米が育てられていたりと、海と山、漁業と農業が調和した独特の風景があります。

今回は農業での移住を考えられている方向けの記事ではありますが、京丹後市で農業をするなら、「海」も生活の中で自然と感じられるもの。自然環境の中に身を置き、心穏やかに農業を営んでいきたい、という方にはとてもおすすめな地域です。

まとめ:豊かな海と山が共存する農業に適した町

京都府北部の京丹後市は、農業移住に最適な地域の一つです。豊かな海と山が生活を支え、農業を始めるのに理想的な土地が広がっています。京丹後市は、新鮮な農作物と美しい景色で知られ、米や野菜、果物の生産も盛んで、特に丹後産コシヒカリや京野菜の名産地としても知られています。また地元の支援と豊富な農業資源により、必要な農地なども人との縁を通じて得られる地域性が、京丹後市の魅力です。

京丹後市の丹後町では近隣住民との食材のやり取りや移動販売車の利用など、都会では味わえない生活の楽しさもあります。移動販売車は幅広い品揃えがあり、地元の朝採れの魚などが揃うので、むしろ町中より便利に感じられることもあります。さらに、海と山が織りなす美しい自然環境が常にそばにあり、心豊かな農業生活を送りたい方にはとてもおすすめです。

田舎に移住して空き家を購入・改修し、農業を始めたいと思われている方、ぜひ一度京丹後市をチェックしてみてはいかがでしょうか?

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