福知山市で育ち、フランスに移住後、福知山にU ターンした衣川まゆさんを取材した。
現在、 福知山市夜久野町でアイシングクッキーの通信販売と子育てを両立している。
趣味から仕事へ
きっかけは14年前のワーキングホリデーだった。料理の修行として現地のレストランで働いている最中。バカンス中にヨーロッパを巡り、イギリスでアイシングクッキーと出会う。
はじめは趣味の範囲で始めたが、 次第に知り合いからの注文が増え、勤務先のレストランにも置いてもらえるようになっていく中で需要があることに気づき、アイシングクッキーの道に専念した。フランスではメールで注文を受け付け、商品を郵送で販売していた。
唯一無二のクッキー
アイシングクッキーとは、 焼いたクッキーの上に、卵白と粉砂糖で作ったクリームに色をつけデコレーションを施したものをいう。
派手なビビットカラーをイメージする人が多いと思うが、衣川さんが作るものは淡い発色の 「くすみカラー」が特徴だ。
以前は色の調整が楽で便利な人工の食用色素を使用していたが、 今ではより添加物の少ない天然由来の色素を選ぶことで、体に優しく安心なクッキーを作れるようになったと教えてくれた。
お客さんの好みに合わせてデコレーションを施している。
▲「くすみカラー」が特徴のクッキー
インスタ基点に全国で販売
4年前に帰国した衣川さんは、初めは数年後にフランスに帰国予定で福知山駅前に店舗を借りていたが福知山への定住を機に自宅の横に工房を設けた。
Magucookies のインスタグラムのフォロワーが全国にいるということに着目し、フランスの時と同様に通販をメインに、不定期で店舗でも販売していた。
徐々に国内からの注文も増えてきた。さらに、 店舗販売の頃にできた知り合いから福知山市内のイベントに誘ってもらい、そこで販売する中でフランス好きの方や、 衣川さんと同じアンティーク好きの方との繋がりもできたそうだ。
▲自宅の工房の様子
▲アンティークのクッキー型
「適度な田舎感」が魅力
アイシングクッキー作りの傍ら、現在3児の子育てをしながら暮らしている衣川さん。
フランスへ移住し、夜久野へ戻って来て感じたまちの魅力は、適度な田舎感にあるという。
「地元でとれた美味しい野菜を食べたり、近所の方々がいろいろ気にかけてくれたりと、フランスにいた頃には感じることのできなかったつながりがここにはあります。冬には雪遊びなどができるので、子どもたちも楽しんでいますよ。」と衣川さんは語る。
週末にはにぎやかなまちなかに遊びに行く。小中学校まではスクールバスが通っており、家まで遠くてもランドセルが重たい日も子どもの負担は少ないという。
買い物をする場所も自宅から少し離れた場所にはなるが、 1 週間分などをまとめて購入すれば、 田舎暮らしにはあまり不便は感じないという。このまちでの暮らしを楽しんでいる。
【編集後記】
新しいことを始めるということはとても不安を感じるし、 難しいことだと思う。
だがそれでもやりたいことをするために、衣川さんのようにまずは一歩踏み出してみるということが大切なのだと感じた。
京都府立工業高等学校 大町理乃
福知山成美高等学校 高田柚衣
京都府立海洋高等学校 山岡侑矢