地元民が移住者さんにインタビューして作成!田舎に移住して、自然の中でのびのびと子育てをしたい、という方におすすめの2つの町をご紹介するコラムです。こちらでは京都府北部の「与謝野町」がおすすめの理由について、実際の移住者さんの声を交えながらご紹介いたします。
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地方や田舎に移住して子育てをしたい、という方は多いかと思いますが、とはいえ、ひとことで田舎といっても全国いろんな町があります。その中でも自分の思いや趣向に合う町を探したいですよね。本記事でのおすすめポイントが参考になれば幸いです。
目次
田園風景に囲まれた自然循環農業とシルク織物のまち 与謝野町
与謝野町(よさのちょう)は、京都府北部の丹後地方にある自然豊かな町で、美しい山々と田園風景に囲まれた農業と伝統文化の町です。2006年に加悦町、岩滝町、野田川町の3町が合併して誕生し、人口は約20,000人。京都市へは車で約90分、大阪は約120分と、京阪神へのアクセスも良好です。また丹後地方の中心にあり、近隣の京丹後市・宮津市・伊根町、そして福知山市へもアクセスしやすい位置にあります。
与謝野町は、自然環境への配慮を生かした「自然循環農業」の推進に力を入れており、天然素材を活かしてつくる「京の豆っこ肥料」を活用した持続可能な農業が盛んです。京の豆っこ肥料は大豆からできるおから、イワシなどの魚介のあら、米ぬかなど天然素材を与謝野町の専用工場で肥料化したもの。この肥料を用いた農法は、環境保全と高品質な農作物の生産を両立させ、米や京野菜などの農作物を新鮮な状態で消費者に届けています。
また、江戸時代から続く高級シルク織物「丹後ちりめん」の産地であり、歴史的建造物や伝統工房が点在する「ちりめん街道」など情緒ある町並みが特徴です。日本三景のひとつである天橋立を一望できる絶好のロケーションも広がり、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。
京都の英語塾経営者さんが与謝野町へ移住計画
昭和レトロな暮らしや自然と共に過ごす田舎暮らしに関心をお持ちのかずみさん。現在与謝野町の移住・定住アンバサダーさんでもあります。ご主人と3人のお子様の5人家族で、お仕事は京都市内で英語塾を経営されています。
実は英語塾の生徒さんたちを連れて与謝野町に訪れる、スマホから離れた自然体験ツアーを月1回、されているんです。さらに与謝野町で古民家を購入してDIYをしながら、昭和レトロな暮らしの様子をTikTokでも配信。なんとフォロワーさんは16,000人以上!
もともとは、都市部で人との関係がなかなかうまく構築できず、不登校が続いた次男さんのために、人が少なく自然豊かな与謝野町への移住を検討されたのがきっかけでした。ご家族の個性を尊重し、田舎の魅力を発見されたかずみさんは、実際に与謝野町をどのように感じておられるのでしょうか?かずみさんのお話を通じ、子育てに与謝野町がおすすめである理由をご紹介いたします。
おすすめの理由① ホタルも見られる自然環境の中で子育てできる
おすすめポイントの1番は、まず何と言っても自然環境でしょう。とはいっても、自然環境といってもいろんなロケーションがあります。かずみさんはどう感じておられるのでしょうか?
かずみさんが移住された与謝野町の岩屋地区には、ホタルが見られる「岩屋川」があります。与謝野町全域でホタルが見られるわけではないのですが、川の美しさは町全体に言えること。与謝野町の中央を伸びる「野田川」には、秋になると鮭の遡上が見られ、川の上から肉眼でも見ることができます。
与謝野町は一部、日本三景の1つ天橋立の内海にあたる「阿蘇海」に面していますが、大部分は山、もしくは山に囲まれた平野です。山から流れるきれいな水が町全体を潤すように流れる環境です。その水を利用して農業が盛んで、自然が残っていることもあり、虫や鳥の鳴き声は、町のどこにいても自然に聞こえてきます。
特に都市部での生活に慣れている方だと、この虫の鳴き声が新鮮に聞こえるようですね!
海が見える公園の遊具で遊べる
与謝野町の岩滝地区にある「阿蘇シーサイドパーク」は、その名の通り海が見える、広大な公園。前述の、日本三景 天橋立の内海「阿蘇海」に面していて、公園からも天橋立を横一文字に見ることができます。
子育て世代にこの公園が人気なのは、その環境の良さはもちろん、大きな遊具で子どもたちが遊べること。特に週末は子どもたちが元気よく遊ぶ声が公園に心地よく響きます。与謝野町での生活は多くの場合、住居の土地も広いので、家の周辺でも十分遊べることが多いですが、大きな公園で遊べるのもやっぱり魅力ですよね。
おすすめの理由② 広々古民家を安く購入できて、補助金ももらえる
家が広くできることは、やはり地方の特権!現在どの地方もそうですが、空き家が大きな課題になっています。それは逆にいうと、田舎暮らししたい方にとっては朗報。広い家が安く手に入ることになります。
しかし、安い家はつまり古い家。どうしても改修は必要です。そこをできるだけDIYすることで、DIYそのものを楽しむこともできますし、補助金を活用して地元業者に施工してもらうこともできます。
かずみさんは、ご自身が好きな昭和レトロな雰囲気を存分に味わえるように、徹底的にこだわっておられるようですね!
与謝野町では、都市部に比べればやはり土地が広く、庭付きの家に住んでいる人が多くいます。夏になると自宅の庭に子供用のプールを出して遊んだり、家族でバーベキューをしたりすることも、ごく普通の光景と言えるでしょう。必ずしも庭付きの家に住んでいなくとも、自宅周辺の道で遊んでいる子どもたちもたくさんいます。
移住関連の補助金も用意されています
また与謝野町では空き家バンクの物件を購入すれば、リフォーム費用の補助金を受けることができます。補助金をうまく活用して家を手に入れ、必要に応じて自分たちでもDIYして住居を整えていくのも、移住の楽しみの1つですね。
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おすすめの理由③ 人がすごく親切で優しい
丹後地方全域で言えることですが、気質的に親切で優しい人が多い地域でもあります。かずみさんに限らず、多くの移住者さんが口を揃えて「人が優しい」と言います。
地域には、私ができることで貢献したいと思っています。保育士も持っていてバルーンアートとかが得意なので、岩屋まつりの出店とかもしてみたいです。
かずみさんがおっしゃるとおり、移住者さんにできることで、地域に貢献してもらえたら、とても嬉しいですね!むしろ、こうした移住者情報を発信させていただけること自体が、すでに貢献いただいています。村に関わることを無理強いすることなく、自然に協力し合えたらと思いますし、実際に与謝野町はそういう空気感がある町です。
この地域では昔から、何かがあれば協力し合う文化があります。それも強制的にかり出されるのではなくて、どちらかというと、人と人とのつながりで、仲間や知り合い同士が自然に集まって何かをするという雰囲気です。きっと、田舎に行くと冷たくされるのでは、とか、何か強制されるのでは、と思われている方も多いと思います。少なくとも、与謝野町はそういった町ではなく、あたたかい空気感がある場所です。
おすすめの理由④ 食べ物が美味しく食素材が豊富
与謝野町は自然循環農業を推進している町で、安心安全な肥料を町が推進して農業に活用しています。ですので、やっぱりお米や野菜はおいしく、玉ねぎ、トマト、白菜、大根、ピーマン、なす、きゅうり、里芋、九条ネギ、万願寺とうがらしなど様々な農作物があります。また、与謝野町では漁業は行われていませんが、隣町の宮津市、京丹後市、伊根町は漁業が盛んな町。このため新鮮な魚介も日常的に手に入ります。移住者さんはよく「スーパーに新鮮な魚が並んでいる」ということをよく口にされます。
新鮮な魚が手に入りやすいことと、与謝野町のスローな空気感が相まって、気分的にも料理に向かう気持ちになるのかもしれないですね。
実際の与謝野町での食生活は?
さて、海が近いからといって、すべての人が毎日魚介ばかり食べているというわけではありません。大きなスーパーマーケットは与謝野町内の各所にありますので、肉も野菜も普通に手に入ります。そういう意味では、全国のスーパーで売られている大半のものは手に入ると考えていただいて大丈夫です。このため、田舎の人は◯◯を食べている、というような偏ったものではなく、個人個人の好みや食習慣ごとに異なる、と言っていいでしょう。
とはいえ、やはり海や山が近い町であることは食生活に変化をもたらします。もちろん、日常的に魚やイカなどの刺身を食べる人は多いですし、冬に高級なカニを食べる人は少ないですが、「こっぺがに」と呼ばれるズワイガニのメスの小さなカニを食べる人は多いです。また野菜は近隣でできたものをもらったりすることも多く、地元野菜を食べられる機会は多いでしょう。
現代では当然、流通が発達しているので、一般的なものはいろいろ手に入りますが、それでも「旬や季節感を感じる野菜、魚」を食べやすいという点は、田舎ならではと言えるかもしれません。
おすすめの理由⑤ 田舎生活を便利に楽しめるロケーション
さて、与謝野町はもちろん、田舎の部類なのですが、不思議と多くの移住者さんが「田舎すぎない」「不便を感じない」とおっしゃることが多い地域でもあります。筆者は与謝野町出身で、現在も与謝野町在住なのですが、私が子どもの頃と比べると、実際にかなり便利になりました。スーパーやドラッグストアも増え、高速道路も京都市まで直通でつながったからです。
それでもやはり、自然が多くの残る場所ですので、田舎ならではの楽しみ方もあります。
スーパーとか揃っているところがいいなと思って、田舎すぎない与謝野町にしました。昔の田舎暮らしはもっと大変だったと思います。今は電動自転車で、スーパーでもどこでもすぐに行けますね。
かずみさんも、伊根町での釣りを楽しまれたようですね。与謝野町では釣りは出来ないのですが、車で10〜20分程度走れば、宮津市エリアで釣りが楽しめます。子育て向きなら、港や防波堤からのサビキでの小アジ釣りやカワハギ釣り、小学生くらいになれば投釣りでキス釣りも楽しめます。もちろん、ちょっとレベルアップして、ルアーでの釣りやエギでのイカ釣り、ウキを使ったチヌ釣りなどをしている人も多数います。
日本三景の1つ天橋立は全域がビーチですので、与謝野町から車で10〜15分程度で、すぐに泳ぎに行けます。少し足を伸ばして車で30〜40分程度走れば、京丹後市のものすごく透明な水質のビーチも。
そもそも、自然が近いということは、子どもたちにとっては遊び場がそこらじゅうにあるようなもの。虫を捕まえたり、川で遊んだり。子どもたちは自然の中にいれば、自然と遊びを見つけます。
もし都市部に行きたければ、京都市まで車で90分程度。大阪なら120分程度。高速道路を使えば比較的近い位置に大きな都市もあります。
まずは相談できる人に出会う
移住したい人は結構いると思うんですけど、住む場所、仕事、この2つを探すのが大変なんです。お試し住宅も1軒しかないですし。(相談してもらえたら)頼れる存在になれたらと思っています。
かずみさんは与謝野町の移住・定住アンバサダーも務められています。かずみさんのように、実際に都市部から移住された方に相談できるとすれば、心強いですね!
このように、やはり移住を考える際、現地の情報が乏しいと判断が難しいことは多々あると思います。特にかずみさんがおっしゃられるように、住む場所と、仕事。実際にかずみさんも、この与謝野町岩屋地区の地区長さんに出会い、理想的な住まいを入手することができました。ご自身で調べられるのも大切ですが、現地のことをよく知る人に相談するのが最も近道ですね。
まとめ 自然の豊かさと適度な便利さの与謝野町
かずみさんは、自然や人との温かな関わりに惹かれて与謝野町へ移住し、DIYによる昭和レトロな家づくりや、豊かな自然の中での子育てを楽しんでおられます。与謝野町には、広大な海辺の公園や豊かな自然環境があり、子どもたちは季節を感じながら遊ぶことができます。
与謝野町は自然豊かな田舎でありながら、生活に必要な施設が整い、京阪神にもアクセスしやすいため、生活バランスを保った住みやすい町です。子育てを田舎でのびのびしたいけど、不便すぎるところは抵抗がある、という方は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか?