カテゴリー: コラム

丹後の美味しくて多様な食材(市民ライター記事)

丹後」と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか。詳しい方は丹後ちりめんや日本三景の天橋立を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、僕が移住して一番感動した、じつは丹後に根付いている「食」。丹後は海の幸や山の幸が豊かでそんな食材を口に運ぶことは丹後で暮らす人々の小さな幸せの一つです

丹後ってどんなところ?

丹後は、海と山の距離が近く、車で2時間で一周できます。そんな土地の中に、豊富な食材がぎゅっと詰まっています。丹後は京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町からなる地域で主に丹後半島からなる日本海に面した地域。断崖絶壁の海岸線や漁師町の船屋、田畑の広がる田園風景などが特徴です。いろいろな風景があるのでドライブをしているだけでも楽しめます!

丹後の食が豊かな理由

冬は”うらにし”という独特な気候によって、雨や雪が多くなり湿度が高いことが特徴です。そんな、丹後半島は水源が豊かで河川が多く農業をするための平らな土地があるため、農業も盛んに行われています。また、丹後半島は海に囲まれているため漁業も盛んに行われていて伊根の舟屋が残っているように昔から漁業が生活に近い存在でした。様々な環境があるからこそ丹後では様々な食材を楽しむことができます。

海や山の食材が楽しめる

海の幸は、久美浜の牡蠣や間人のカニ、宮津の丹後トリガイが代表的。山の幸なら、与謝野町や宮津では、大江山を駆け巡る鹿や猪のジビエが有名です。「豆っこ米」と呼ばれるおからを肥料につかった米、宮津のやまのいもや万願寺とうがらしといった野菜、京丹後市には多くの果樹園があり、甘くてジューシーな桃や梨、ぶどうやメロンを直接農家の方から購入することができます。さらに、そんなおいしい食材が、直売店のみではなく街中のスーパにも並んでいるため、日常の食事で地産地消を楽しむことができます。

ご近所さんからいただくことも

そんな食が豊かな丹後では、飲食店やスーパーなどで美味しい食材にふれる機会があるのはもちろんのことですが、ご近所さんから食材を頂く機会も多いです!ぼくが移住してから、夏には宮津湾のタコ、秋にはお米や旬の果物、冬には大根やカブ、ゆずなどをご近所さんにいただきました。ぼくの楽しみは頂いた方におすすめのレシピを聞いて料理をすること。一番のお気に入りはゆず大根、近所のおばあちゃんのなつかしい味がしてとっても美味しく、白いご飯がすすみました!

このように丹後は食が豊かで美味しいのはもちろん、食を通じたコミュニケーションが根付いています。これがぼくが移住してきて感じた、丹後ならではの当たり前の小さな幸せです。
ぜひ、丹後に遊びに来て美味しいご飯を食べてみてください!

書き手

高橋友樹

神奈川県川崎市生まれ。2021年の4月に宮津市へ移住。まちづくり会社の㈱ローカルフラッグで働きながら、自宅の一室をDIYで改装し鍼灸師として働いているダブルワーカー。鍼灸とまちづくりをつなぐため日々奮闘中。

 

    自然も仕事も仲間も、ここには何でもある。 広域の視点をもつことで見えた、京都北部7市町の可能性

    京都移住計画(株式会社ツナグム)では、2018年度から3年に渡り、京都5市2町の広域連携UIターン推進をお手伝いしています。こちらの記事では、2020年度の活動をご紹介しながら、本事業を振り返ります。

    丹後(宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町)・中丹(福知山市、舞鶴市、綾部市)を合わせたエリアを、「北部7市町」と呼びます。京都移住計画は、2018年度から3カ年に渡りUIターン推進事業を、「京都北部7市町」の、行政・民間プレイヤーのみなさんと進めてきました。

    本記事は、2020年度の活動紹介に加え、3年に渡り京都移住計画が関わった「北部7市町」のUIターン推進事業を振り返ります。

    行政と民間が混ざり合うことで、生まれた成果や気づきとは?各分科会から一名ずつ集まっていただき、語り合いました。

    <話をしてくれた人>
    観光分科会/工忠照幸さん(綾部)
    起業・事業承継分科会/濱田祐太さん(与謝野)
    コミュニティづくり分科会/杉本健治さん(伊根)
    まちの人事部分科会/藤本和志(京都)

    つながりから何かをはじめたかった頃

    UIターン推進事業は、2019年から声がけした民間プレイヤーも加え、スタートしました。そもそも、どういう思いや課題感があり、この事業に関わったのでしょうか。

    濱田:持続可能な地域づくりのためには、地域の課題を解決し、今ある産業を守ることが欠かせないと考え、「株式会社ローカルフラッグ」を立ち上げましした。課題解決するには、担い手となる地域のプレイヤーを、増やしていく必要があります。この事業が動き出した3年前は、ちょうどUターンする段階で。地域内で連携できる仲間や行政職員と繋がりをつくりたいと考えていたので、良いタイミングでしたね。

    濱田くん

    工忠:僕は地域の人に会いに行き、自分の暮らしを考えるツアー「天職観光」を運営しています。そのため当時から、行政との関わりもありましたが、行政は行政で独自に移住支援をしていました。

    この事業に関わることで、行政からも地域の案内を依頼されることも増えましたね。僕が知らなかった綾部の移住者や、北部全域の移住者と知り合う機会にもなり、より移住検討者に近いライフスタイルの方を、ご案内できるようになりました。

    杉本:濱田さんや工忠さんと違い、僕は日頃から移住支援に関わっているわけではありません。でも、地域にもっと仲間が欲しいとは思っていて。7市町と一言で言っても、各市町によって色が違います。移住する人が、自分に合う地域を選べる流れができたらいいなと想像していたので、関わることにしました。

    杉本さん

    藤本:今、お話にあった広域連携は、外から関わる京都移住計画の立場から見ていても、課題として感じていました。各市町に面白いプレイヤーはいるんだけど、関わりを持てていなかったり、緩くつながりはあるけどプロジェクトを一緒にするところまで踏み込めていなかったり。また、行政と民間のプレイヤーが、一緒に何かをするのをお互いが避けているようにも見えたんですよね。
    UIターン推進事業のお話を頂いた時に、プレイヤー同士、行政と民間をうまくつなぎ合わせるような企画をつくりたいと考えながら、ゆるやかに事業を動かしはじめました。

    藤本

    官民協働の事業づくりを実験。4つの分科会で得たもの

    手探りの中、行政と民間のコミュニケーション機会を設け、対話を続けた2018年度。

    各市町にコーディネーターを配置し、官民協働プロジェクト「京都プロジェクト博覧会(通称:プロ博)」を実施した2019年度。

    そして、2020年度は、「起業・事業承継」、「観光・ワーケーション」、「まちの人事部」、「コミュニティづくり」の4つの分科会に分かれ、事業づくりに取り組んできました。(今までの取り組みについてはこちら

    ここからは、各分科会を一つずつ振り返ります。分科会は民間3〜4名、行政3〜4名で構成されています。

    ●プロジェクトを軸に、北部に関わる仕組みをつくる「コミュニティづくり」分科会

    <メンバー>
    杉本健治(もんどりや)、市瀬拓也(andon)、梅田優希(株式会社ローカルフラッグ)、塩見浩一(綾部市役所)、中村善之(宮津市役所)、森下弘理(舞鶴市役所)

    「コミュニティづくり」分科会は、都市部で暮らす北部出身者のコミュニティをつくることで、北部に関わるプロジェクトにつながりをつくったり、参加者同士が関係性を築いていくことを目的としています。

    今年度は、京都・四条にある「GOOD NATURE STATION」にて「KuraNomi in KYOTO」(2020年11月29日)を開催。都市部在住・北部出身の学生と共に、丹後地域の酒蔵、4蔵から厳選したお酒、与謝野ホップ使用クラフトビール「ASOBI」、地域の加工品を販売しました。

    杉本:きっかけは、2019年度の「プロ博」でした。スナックを開いて北部の食を提供したら、参加者同士が自然と北部トークで盛り上がり、仲良くなっているのを見て、そんな場を今後もつくりたいと思ったんです。
    移住イベントを開催しなくても、日常的に北部との関わりがあれば、Uターンしたい気持ちが醸成されていくのではと考えました。イベントで出会っても、その後関わる機会がなければ関係性は切れやすい。だから少人数でも固定メンバーで、プロジェクトを軸に継続的に関われる仕組みつくりたいなって。
    そこで、地域の食材を事業者さんから手数料を頂いて、都市部で販売するモデルを試しました。出会った人同士で仲良くなったり、「こんなこともやりたいね」と今後の話が出たりもしてます。今後はメンバーの話を聞きながら、彼らがやりたいこともサポートできる環境をつくっていきたいです。

    ●地域の雇用を生み出すプレイヤーを育成、「起業・事業承継」分科会

    <メンバー>
    宇田川鎮生(西田工業株式会社)、大滝雄介(株式会社大滝工務店)、
    濱田祐太(株式会社ローカルフラッグ)、市田恵美(福知山市役所)、上柳晋作(宮津市役所)、三井雄太(京丹後市役所)

    「起業・事業承継」分科会は、地域を担うプレイヤー人材を育成する仕組みをつくるため、「京都北部ローカルベンチャースクール」の立ち上げ準備中です。今年度は、リサーチに重点を置き、活動しました。夏から秋にかけて、先進拠点の視察。2020年10月31日にはプレイベントを実施し、北部で何か新ことを仕掛けたい方が集まる機会をつくりました。

    濱田:これまでの移住定住の取り組みは、田舎暮らしをしたい人や小商い文脈の個人事業主を対象にしたもの中心でした。一方、起業したり家業を継いで新しいチャレンジをしたりしている人たちは、まだまだ少ない。そんなことを「プロ博」で、運営メンバーの大滝工務店の大滝さんや、西田工業の宇田川さんと話をして、分科会をつくりました。
    一年動いてみて分かったのは、コミュニティをつくることの大切さです。有名な方の講演会を開催するのではなく、同じタイミングで移住した人同士や、会社を設立したタイミングが近い人同士で、切磋琢磨し、気軽に相談できる場があることが、プレイヤー人材を増やす上で、一番大切な資産になると感じています。現在は、来年度に向けて、「初めて従業員を雇う時に気を付けること」「銀行との付き合い方」などを身近な先輩経営者から、リアルな話を学べるプログラムを開発中です。

    ●「観光」分科会

    <メンバー>
    工忠照幸(MATATABI)、市瀬拓也(andon)、辻井貴之(京都府職員)、堂田久美(舞鶴市役所)、原口圭介(綾部市役所)、梅本里沙(伊根町役場)

    「観光」分科会は、もともと工忠さんが、綾部を中心に活動していた「天職観光」の取り組みを、京都北部全域に広げようとしています。行政や他団体によるガイドとの差別化、コース作成、価格設定をディスカッションしながら決めました。また天職観光のガイドコミュニティをつくりました。まちを案内する人が収益も得ながら関われ、移住検討者が自分にあった暮らし方ができるまちと出会える仕組みづくりを目指します。

    工忠:観光で一番楽しいのは、人に会うことだと思います。京都なら寺社仏閣に行くように、与謝野町の濱田くんなど人に会いに行くことも観光資源の一つになるはず。そう思い、まちを案内しながら地域の人と交流できる「天職観光」をしています。
    まちで出会う人は、ガイドによっても変わってきます。僕らや行政にガイド役を限定せず、まちに案内できる人が増えれば、移住検討者も自分に合うまちを見つけやすくなるはず。各市町にはそれぞれの魅力があるので、この事業で出会ったメンバーで連携しながら、面的にフォローできるようになりたいです。

    ●「まちの人事部」分科会

    <メンバー>
    濱田祐太(株式会社ローカルフラッグ)、梅田優希(株式会社ローカルフラッグ)、藤本和志(京都移住計画)、寺田武史(福知山市役所)、坂根あゆみ(与謝野町役場)

    「まちの人事部」分科会は、まちの案内と仕事探しを一体化した移住支援の形をつくろうとしています。地域の移住コーディネーターが就職や複業などの仕事も案内できるようになる。また、地元企業や人事担当者も移住コーディネーターのように、まちの案内や暮らし方のサポートができるようになることを目指すものです。
    今年度は、京都北部の企業数社をお呼びし、「企業×移住」の可能性を探る意見交換や、UIターン者採用や人材育成に力を入れている企業をモデルにした勉強会を実施しました。

    また、2020年11月28日は、北部の企業をゲストにオンラインイベント「地域企業が仕掛ける『職住』を両方楽しむ選択とは?」を開催。学生や若手社会人など約30名が参加し、まちと企業の理解を深め、つながる機会を設けました。

    藤本:京都府の移住コンシェルジュとして、年間1000名以上の移住検討者の相談を受けています。その中で、最もネックとなるのが仕事。約9割の人が会社員として相談に来られる中、起業や小商いと言っても自分ごとになりにくく、縁もゆかりもない土地で収入源をどう作るかが見えないと、移住につながらないと課題に感じていました。それを解決するのが、「まちの人事部」のモデルです。
    「移住やIターン」は別物として捉えている企業もあります。移住=農業、田舎暮らしではなく、UIターン者の企業での採用活動も移住施策の一つだと捉え直し、興味をもちアプローチしたいと思ってもらえたのは大きな一歩でした。また、せっかくUターンしても、会社と家の往復だけしている人もいるとの話も聞くので、職住一体の取り組みによって地域や事業に関わるIターン者と混ざり、まちに面白い人が居ることを知ってもらえば、定住にもつながると考えています。

    プロジェクトを通して見えた、広域連携の可能性

    こうして4つの分科会に分かれて、活動をしていきた2020年度。プロジェクトを進める中で、官民連携のポイントや7市町としての可能性も見えてきたようです。

    報告会の様子。

    杉本:最初は、行政と民間のスピード感や進め方の違いに戸惑いました。物事はなかなか進まないし、僕らなら「やっちゃえばいいやん」って思うことにも、慎重で。でも、打合せなどをなんども重ねることで、分科会の「KuraNomi in KYOTO」イベントの頃には、積極的に提案したり動いたりしてくれるようになり、行政側の変化を感じました。また僕自身も、行政の方々がどんな思いやルールで動いているのか知る機会になり、見え方が変わりましたね。

    「起業・事業承継」や「観光」分科会では、行政と組んだからこそ生まれたメリットもあったのだとか。

    濱田:福知山市役所まちづくり推進課の寺田さんが、福知山の企業を紹介してくれたんですね。Uターン者も毎年10名程度採用されている企業なのですが、分科会のメンバーは誰も知らなくて……。行政の方と一緒に動くことで、接点がなかった企業とつながる機会になりました。また民間だけで動くと、自分たちが知っている範囲で声をかけやすい人に声をかけがちだという課題に、改めて気づくことができましたね。

    工忠:「観光」分科会でも、同様のことがありました。「天職観光」などで日頃から移住支援の活動をしていますが、綾部市内全ての移住者を把握できているわけではありません。特に僕は、綾部は塩見直紀さんが提唱した「半農半X」に惹かれ、「X」を伸ばしたい集落暮らしをしたい人との出会いは多いのですが、地方都市的な暮らしをしている人に出会う機会は少ない。行政は、幅広く移住者を知っているので、情報量も増えましたし、移住検討者にご案内する先の選択肢も増やすことができました。

    工忠さん

    行政と民間それぞれが、お互いの仕事の進め方や得意を知ることができた機会になったことに加え、市町村単位ではなく「7市町」として広域で地域資源を捉え直す機会にもなったそうです。

    濱田:7市町ぐらいのサイズで見ると、「だいたい何でもあるんだ」とこの事業を通して思いました。与謝野町だけだったら足りないものはたくさんあります。でも集結すれば地域を盛り上げるプレイヤーも複数いるし、仕事もある。連携都市圏で考えるって、すごく大事だと気づきました。

    工忠:うん、僕も広域連携の魅力を痛感しました。内陸の綾部に、海の幸はありません。でも、7市町に広げるとカニやブリをはじめ四季折々の食べ物に恵まれています。冬になれば雪も積もる。京都市内から1.5〜3時間で行けるんだから、わざわざ北海道や長野へ行かなくても府内で十分に楽しめるよって(笑)

    杉本:7市町にはそれぞれの色があり、移住者もスタイルが違っているのがいいんだって思えるようになりました。関西圏で移住を考える人が、きっと自分のライフスタイルに合うまちに出会えると思います。

    藤本:僕は仕事やプライベートで、全国各地を巡ってきました。その中で思う7市町の魅力は、逆説的ですが、有名なまちづくり事業者がいるわけでも、ビジネス的な人がいるわけでもないところだと考えています。今日、各市町によって人や場の良さがあり、それらを面的に補い合えるプロジェクトの話を聞いて、みんなでつくるエリアが7市町の魅力だなと改めて実感しました。
    これからも、まちの面白い活動に光を当てて、移住の入り口から関係づくり、雇用できる体制まで結びつけていける仕組みを、一緒につくらせていただけたら嬉しいです。

    2018年度から株式会社ツナグムとして関わらせていただいた、京都5市2町の広域連携UIターン推進事業は、この3年間で「官・民」が一緒になり動き、中長期で町へ人が入ることの仕掛けを、中でつくる流れができてきました。

    今後も、この官民連携の分科会形式でのプロジェクトの実証実験が、京都北部にある様々なテーマに展開しながら、広がっていくことでしょう。

    その活動がまちへの愛着や仕事の種につながり、それがプロジェクトとなれば中の人から外の人にも伝わり、結果的にUターンや移住につながる。そんな町の中と外の接点をもっと増やして行けるよう、僕たちも京都北部を応援していきます。

    記事の作成に関わってくれたクリエイター

      行政と #民間プレイヤー が力を合わせて挑む。 3年目を迎えた、#北部7市町 の#移住 促進の今

      行政と民間プレイヤーが力を合わせて挑む。3年目を迎えた、北部7市町の移住促進の今

      京都移住計画(株式会社ツナグム)では、2018年度から京都5市2町の広域連携UIターン推進をお手伝いしています。こちらの記事では、過去2年の取り組みを振り返りながら、2020年度の活動予定をご紹介します。

      京都府には15市6郡10町1村があり、府によって丹後・中丹・南丹・京都市・乙訓・山城の6つの地域圏に分けられています。そのうち丹後(宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町)・中丹(福知山市、舞鶴市、綾部市)を合わせたエリアを、北部7市町と呼び、UIターン推進事業を進めています。

      京都移住計画が関わり出して3年目となる2020年度。今年度はどのような展開を考えているのか?事業を共に進めてきた福知山市役所 まちづくり推進課の寺田武史さん、株式会社ローカルフラッグの濱田祐太さん、そして京都移住計画の藤本和志の3名に聞きました。

      左から藤本(京都移住計画)、寺田さん(福知山市)、濱田さん(ローカルフラッグ)

      官・民の関係構築から始める!手探りの2018年度

      北部7市町の枠組みではじまった事業でしたが、京都移住計画が関わりはじめた初年度は、各市町の移住担当者の入れ替わりなどもあり、横との関係性や動き方も手探りな状態でした。ましてや、「官民連携なんてどう進められるのか想像できない」なんて声も聞こえてくるほど、交流や共通認識づくりからのスタートでした。

      藤本:僕たちと自治体担当者で、7市町で何をしていくのか、どういう状態をめざすのかを最初に話し合いましたよね。前年につくっていた「たんたんターン」という素敵なサイトがあっても、そのサイトを使ってどのように情報を届けていくのかがなされてないと、人が来ない。移住につながる動きや結果が見えない。そこで広告など消費型の事業に頼るのではなく、発信力がある7市町にUIターンした民間プレイヤーと組んで、北部ならではの移住支援のあり方を模索していくことになりました。

      寺田:私は以前は危機管理の部署で目的や計画が明確にあって動く仕事をしていたので、7市町事業の進みながら考える、答えやゴールがない事業を担当することになり、正直最初は戸惑いは大きかったです(笑)

      行政担当者向けのワークショップ。1年目は、担当者の関係性づくりからスタートし、できることを模索していった。

      藤本:寺田さんだけではなく、7市町の自治体担当者の多くがそう感じられてたように思います。2017年までにつくられていたWEBサイトや印刷物などのアウトプットがあればわかりやすい。しかし、UIターンした人たちと事業をつくっていくことはイメージを掴んでもらうまで、予想以上に時間はかかりました。みなさん、各市町や民間プレイヤーと協働したい気持ちは持っていましたが、そもそも7市町の自治体移住担当者同士や、自分の町のUIターン者に気軽に連絡したり相談することが、普通ではなかった気がします(笑)

      寺田:福知山市は移住支援もはじめたばかりの時期で、何から取り組めばいいのか正解がわからない。隣町の担当者にどんな風に聞いたらいいのかって。藤本さんは気軽にそう言ってくるけど、行政のこれまでのやり方からその発想がなかなか自分の中でもてなかったのかもしれません(笑)

      藤本:実現したいイメージは持っていましたが、僕たちが全てを決めて実行するのでなく、あくまでも7市町担当者が当事者として決めていくプロセスを大事にしていました。
      なので、「一緒に考えながら進んでいきましょう」というスタンスでいました。自治体のみなさんと関わって、民間の人を巻き込んで何かをつくる。言葉として、官民連携というのは簡単ですが、実際はとても難しいことだと実感した一年でもありました。

      寺田:地域のプレイヤーにヒアリングへ行く時も、「目的がないといけない」、「何か決めないといけない」と思い込んで、気軽に声かけすることもできなくて。初年度で緊張していたのはありますが、ただ話をするだけなのに、すごく仰々しくなってしまっていました。

      藤本:糸口になったのは、京都北部7市町として東京で移住イベントをしたことでした。舞鶴市Uターン者の大滝さんと綾部市Iターン者の工忠さんをゲストに呼び、イベントに参加される方に、どうやったら現地に来てもらえるか考え、工忠さんが取り組む「天職観光」を広域に広げようとした動きですね。綾部と舞鶴の地域横断でプログラムを実施することで、それぞれの町の特徴を活かし合うこと、民間が活動することが移住の一歩につながることの、7市町でめざしたいイメージを共有できました。

      事業を通して出会った舞鶴のまちづくり団体「KOKIN」と連携し、地域横断の移住ツアーを実施。東京から6組が、北部を訪れた。

      寺田:そうですね。他にも自治体とUIターン者や民間事業者が混ざったワークショップを何度か重ねたことで、少しずつ進め方やスピード感を覚えていきました。行政は、始まりと終わり、目的と結果をはっきりさせて物事を進めるので。やりながらつくる感覚が、少しずつわかった気がしました。

      各市町にコーディネーターを置き、官民連携の一歩を踏み出した2年目

      2018年に実施した地域プレイヤーへのヒアリングを経て、地域の方々にも関わりをもていただけるよう七市町連携のテーマを「プレイヤーの移住施策への参画」に決定。各市町にコーディネーターを一人ずつ置き、自治体と民間をつなぐ役割をしてもらいながら動いていくことになりました。そこで声がかかった一人が、与謝野町をフィールドに活動する、ローカルフラッグの濱田さんでした。

      藤本:まちの未来を背負って動ける人を探した時、濱田くんの名前が上がりました。当時はまだ学生でしたよね。

      濱田:そうですね。ちょうど与謝野町で起業しようと、Uターンを考えていたタイミングでした。移住定住に関心がありましたし、各市町の民間プレイヤーで担える人は地域の未来に必要だと思ったので、関わることに決めました。

      藤本:コーディネーターのみなさんで実行委員会を組んでいただき、月1回オンラインで打ち合わせしたり、先進事例を学ぶためのワークショップを開催しましたね。話し合いの中で、何かしら事業化できるものに取り組んでいこうと、今年度につながる方向性が見えました。その前身として2019年度に実施したのが、「京都北部プロジェクト博覧会」です。

      京都・四条烏丸で実施した「京都北部プロジェクト博覧会」。100名以上が参加し、交流する場となりました。

      濱田さんは、仕事を通して地域と関わる「ふるさと兼業相談所」を担当。移住に関心ある層に、都市部で暮らしながら北部7市町に関われる仕事の案内をしました。

      藤本:自治体やコーディネーターの人たちが共に移住イベントを運営する機会になり、官民連携の足掛かりになりましたね。お二人にとっては、どんな年度でしたか?

      濱田:この事業をきっかけに、各市町のコーディネーターの人たちや行政のみなさんともつながれたので、これからいろんなことがやれそうだなと楽しみになった一年でしたね。

      寺田:2年目もまだまだもがいていました。濱田さんをはじめプレイヤーのみなさんは、芯が通っています。でも自治体は、担当者が変わることもありましたし、事業でやっていることをうまく周りに説明できずに、理解を得られないこともあり、悔しい気持ちの時もありました。

      寺田:「京都北部プロジェクト博覧会」に運営スタッフとして関わりましたが、コーディネーターのみなさんの企画力や推進力に圧倒され、イベント終了後に「僕らもっと頑張れたんじゃないかな・・」と何人かの自治体の声が聞こえていました。そこから「僕たちも変わらないと」と意識が変わったのはありましたね。

      藤本:良くも悪くも曖昧さを大事にしながら進んできた事業でしたが、2年目は一つのコンテンツを官民連携でつくり出すことができた年でした。まちの大きさも住民数も異なる中で、広域連携をする難しさはたしかにあります。しかし、イベント運営を通して、自治体のみなさんにも、北部ならではの移住支援のイメージを掴んでもらえたのではないかと考えています。

      事業づくりにチャレンジする2020年度

      広域連携や官民連携の難しさを感じる一方で、自治体・民間それぞれの意識が変わり北部7市町の可能性も見えてきた2019年度。そして3年目となる今年度チャレンジするのが、事業づくりです。

      藤本:事業をはじめた頃に比べて、行政の移住支援施策も充実しました。相談窓口も開設され、田舎暮らしをしたい層のニーズに応えることができるようになっています。一方、起業したいとか、小商い的に仕事をつくりたいとかといった層への対応は、行政の得意とするところではありません。地方の仕事づくりについては、UIターンしたプレイヤーが得意。そこで、これからの移住施策としてどちらの対象者ニーズにも合わせられるように、行政と民間それぞれの役割と得意を分けて、北部7市町ならではの移住支援の形をつくろうとしています。

      藤本:民間が活動する延長が結果的な移住につながる取り組みを考える中で生まれたのが、4つの分科会です。「起業・事業承継」、「観光・ワーケーション」、「まちの人事部」、「コミュニティづくり」に分かれ、自治体も民間も混ざり合いながら事業化に向けて動いています。

      濱田:通常、行政と仕事すると言えば、委託事業を受けて、行政の担当者として接することになります。でも今回は、行政と民間で役割分担して一緒に進めていく。今年度どこまで形にできるかと試行錯誤しながらではありますが、2021年度以降、7市町全体の施策が変わることにつながるんじゃないかと、期待しています。

      藤本:具体的に役割分担がイメージできていることはありますか?

      濱田:僕は「起業・事業承継」チームとして活動しているのですが、例えば、起業したい人を集めて育てるのは民間で担当し、そこに行政の地域おこし協力隊などの制度や補助金を組み合わせていくと、人材の受け皿として強いだろうと考えています。

      藤本:なるほど。寺田さんはどうでしょうか?

      寺田:いつも発注者として民間に関わりますので、一緒にプロジェクトをつくるスタンスは新しいです。プロポーザルに業者が入札して、はじめましての人と組むことが多いのですが、7市町の分科会は、人となりや事業背景を知っている人たちとチームを組めるので、楽しみですね。ただ民間のスピード感と一緒にうまく進めていけるかどうか多少不安もあります・・

      藤本:少しずつ変わっていけたらいいのではないでしょうか。ここ数年、僕たち民間側と関わったこと、コロナで移動がしにくい影響もあり、対面・電話メールの連絡が主だった自治体さんも、オンライン・ZOOMやSlackでのやりとりに前向きになってくれていますよね。いざ使ってみるとすごく便利でもっと早くやっとけばよかったとの声も聞きます。同じように、民間のリズムや、やりながら形にしていく進め方を掴んでいただき、今後の自治体施策にもうまく取り入れ、いかしていけるといいのではないかと期待しています。

      北部7市町を広域連携のモデルに

      2018年度から関わってきた北部7市町の事業は、今年が最終年度になります。それぞれどのようなゴールを描いているのか、最後に教えてもらいました。

      濱田:「北部7市町はおもしろい取り組みをしているな」と、外部の方に思ってもらえるようになりたいです。そのためにも、4つの分科会それぞれがしっかり活動して、成果を出していく必要があります。2021年度以降は、本事業で生まれたタネが芽吹き、つづいていけるようにしたいですね。

      寺田:僕はですね、このモデルが全国に広がって、「広域連携は北部7市町からスタートしたんだぞ」と言えるくらいを目指したいです。行政として同じ事業に予算をずっと投資できず来年度以降、もしかしたら今年と同じような形で7市町事業として取り組むことは難しいかもしれません。ただこの流れを活かし分科会の一つを福知山市で取り上げて、民間と一緒に事業化する動きをつくれてもいいだろうなと思います。

      藤本:一つは各分科会が、来年度以降、自主事業として自走できる状態を目指したいです。小さくてもいいので、キャッシュポイントをつくるところまで持っていけたら。もう一つは、行政と民間の動きをうまく掛け合わせなが事業や施策がつくれる関係性を築くことです。分科会のように、それぞれだからできる役割をを担えたら、まちとしてできることや可能性はもっと広がっていくんじゃないでしょうか。

      京都移住計画が関わり出してから3年目(最終年度)を迎えた、北部7市町のUIターン推進事業。2020年度は、北部らしい移住支援施策をつくるため4つの分科会の事業化を目指します。一般向けイベントなども予定していますので、進み始めた京都北部ならではの移住施策に関わりたい方・巻き込まれたい方はぜひご参加ください。

      《起業・事業承継(ローカルベンチャー)分科会チーム》
      京都府北部にて、創業や家業の事業承継を考える野心あるU・I・Jターンを促進する。移住前の接点づくりや育成の場を整備することで、U・I・Jターンの促進と、移住後の活躍につなげる。

      ▼海の京都ローカルベンチャースクール プレイベント
      日時:10月31日(土)16時〜18時
      場所:オンラインzoomを予定 / 現地:福知山市民交流プラザ
      対象:京都北部での創業や事業承継等を検討している若者(35歳未満を想定)
      詳細:分科会メンバーのSNSなどにて広報予定

      《まちの人事部分科会チーム》
      京都北部の求人企業さんと一緒に「職住」の受入体制づくり、移住人材の採用強化、移住×企業での企画ネットワークづくり等、都市部人材向けに攻める採用をする企業を増やす

      ▼京都北部企業との働き方交流会(仮称)
      日時:11月28日(土)午後を予定
      場所:オンラインzoomを予定
      対象:京都北部での働き方を考えたい方、ユニークな企業に出会いたい方、就職や転職・移住などを考えられている方
      詳細:京都移住計画・ローカルフラッグSNSなどにて広報

      《コミュニティづくり分科会チーム》
      京都市内を中心に、都市部に住む京都府北部にゆかりのある若手でコミュニティを作り活動する。それにより日常の中で京都北部との接点を増やし、人やモノの流れを円滑にしていく。

      ▼Kuranami in Kyoto (仮称)
      日時:11月下旬の休日で調整中
      場所:GOOD NATURE STATION
      (〒600-8022 京都市下京区河原町通四条下ル2丁目稲荷町318番6)
      内容:「北部の地酒と食材を知って、楽しんで、伝える」という活動テーマから、コミュニティのメンバーで京都北部の地酒と食材を販売。コミュニティの活動に興味のある方、京都北部出身の方、京都北部の地酒や食材に興味のある方ぜひお越しください。
      詳細:All Tango Action、GOOD NATURE STATIONなどのSNSで広報予定

      《観光分科会チーム》
      新しい観光のスタイルである天職観光。独自のライフスタイルをしている方に会いに行き自分の暮らしを見つめ直す旅。またそういった方と関係を作り移住に興味がある方には空き家見学と観光案内も行います。

      ※京都北部天職観光ツアーなどを企画調整中

      記事の作成に関わってくれたクリエイター

      • : 京都北部地域連携都市圏

      地域に関わりたい!を一歩踏み出す 京都北部プロジェクト博覧会

      「京都北部プロジェクト博覧会」とは?

      「京都北部プロジェクト博覧会(以後、プロ博)」は、京都北部7市町(※1)で活動する団体・プレーヤー・自治体と、ゲストトークやプロジェクト紹介、食を通じて交流し、地域とのつながりや関係をつくる場です。ちょっと立ち寄ったらついつい長居してしまい、半日いたら次につながる。参加者みんなで「京都北部へ行ってみたい!」と思えるような楽しく学びのある博覧会です。

      (※1)京都北部7市町は、福知山市・舞鶴市・綾部市・宮津市・京丹後市・伊根町・与謝野町の総称です。

      当日は、「株式会社ツナグム(京都移住計画)」の藤本和志と、「丹後暮らし探求舎」の坂田真慶さんが進行役を務めました。

      藤本:僕たち「京都移住計画」は普段、京都府内各地への移住を伴走サポートをしているのですが、「移住」する以外にも、地域と関わる選択肢があったらいいなと思っています。プロ博を通して、京都北部で活動するプレーヤーのみなさんと出会っていただき、今日1日楽しく過ごしていただきながら、新たな関わりを見つけてもらえたら嬉しいです。

      坂田:自分たちが “やりたい” と思うことや、好きなことから生まれたプロジェクトの種を、官民学で協働しながらどのように事業化していくのかを一緒に考えられたらと思っています。「京都北部へなかなか行く機会がない・・」というみなさんへ向けて、京都北部の暮らしや仕事を訪ねるツアーを7つ考えてきました!ブースも設けているので、ぜひ足を運んでいただきたいです。

      オープニングのあとは、与謝野町長の山添藤真(やまぞえ・とうま)さんによる基調講演に移りました。

      基調講演:「みえるまち」をつくりだす与謝野町の挑戦

      山添藤真さん / 与謝野町長
      1981年生まれ。江戸時代から続く丹後ちりめん織元の長男として育つ。2000年京都府立宮津高校卒業後、フランスに留学。2004年フランス国立建築大学パリ・マケラ校に入学し、都市設計から住宅政策まで、幅広く建築を学ぶ。2008年フランス国立社会学科高等研究員パリ校、2年次修了。2010年から2014年まで与謝野町議会議員を経て、2014年4月与謝野町長就任。
      HP:http://yosano-branding.jp/

      丹後半島の根元に位置する、人口22,000人のまち与謝野町。京都市からは車でおおよそ1時間40分のアクセスです。町の南部には大江山連峰を抱え、北部は天橋立を望む阿蘇海に面しています。

      そんな与謝野町で、2015年からはじまった「与謝野ブランド戦略」。“みえるまち” をコンセプトに掲げ、人づくり、仕事づくり、賑わいづくり、誇りづくりに取り組んでいます。

      山添町長:山も海もある豊かな自然環境に恵まれている与謝野町は、農業や丹後ちりめんなど、古くから「ものづくり」とともに発展してきました。そういった、与謝野町のものづくりの根幹にあたる部分や、源流となる部分をより多くの方に伝えるために付加価値をつけ、持続可能な地場産業の基盤を整えています。

      例えば、農作物の加工過程で生まれた天然素材のおからや米ぬか、魚のあらで有機質の肥料を製造し、次に農作物を栽培する際に使用するという「自然循環型農業」の推進や、ホップやシルクを栽培し、6次産業化して市場へ流通させていくというもの。これらは同時に、新たな地域の雇用創出や後継者の育成をめざしています。

      そのほかにも、宮津市にある天橋立や、日本海の海産物をめがけて訪れる観光客の周遊を促すべく、阿蘇海周辺を「阿蘇ベイエリア」と名付け、シーサイドパークや交流拠点の整備、自然アクティビティの造成など、観光産業の強化にも取り組んでいます。

      山添町長:地場産業を育てるためには、官民学が一体となり多角的な視点で努力することが大切です。私たちは “みえるまち” をコンセプトに、安心安全の食材・素材づくり、加工、国内外への発信を一貫して行える体制づくりにチャレンジしています。

      現在、ありとあらゆるものが東京に一極集中しているなかで、日本全国で地域の歴史・文化・産業を守るためのプロジェクトも進行しています。私たちをはじめ、そういった取り組みに携わる方々が、これからは日の目を見る時代になっていくと信じ、与謝野町も挑戦しつづけていきたいです。

      山添町長の熱いお話に、会場からも質問や感想が飛び交います。

      ▲講演の内容はグラフィックレコーディングで記録していきます。

      参加者:10代の若者向けにやっていることや、これからやっていきたいと考えていることはありますか?

      山添町長:現在、小学校から高校における学習指導要領が全面的に改善されており、これまで私たちが受けてきた「覚える」ことに重点を置いた学習の仕方から、自分たちで「考える」教育のあり方にシフトしていく流れができています。そのなかで「サケの遡上」や「コウノトリの飛来」など、子どもたちの身近に起こっている事象から、与謝野町の自然資源の背景を伝えていくことで多角的な学びの環境をつくっていきたいです。

      参加者:現在私は大学生なのですが、将来的に地元の町長になりたいと思っています。就任してから5年が経過するなかで、就任当時のビジョンに対して変化などはありましたか。

      山添町長:町長は、住民の生活に近しい場所で喜びも悲しみも共有できる仕事だと思っています。私は、就任当初から「産業」と「子ども」にフォーカスして様々なチャレンジをしていきたいと考えていました。就任して5年が経ち、住民のみなさんとともに一歩ずつ積み重ねてきたことで、ようやく描いていたビジョンに近づいてきた感覚はあります。これからも、チャレンジが生まれる、応援できる風土を育んでいきたいです。

      「プロジェクト博覧会ブース」のご紹介(前編)

      プロ博実行委員会による「プロジェクト博覧会ブース」は、京都北部の食を楽しむスナックや木こり体験、ローカル観光の紹介、ふるさと兼業相談、移住相談など、開始早々にぎわいを見せていました。

      ▲参加者も木こりコスチュームで記念撮影。

      ▲実行委員の市瀬さんによる、薪割り体験ブース。

      ▲丹後食材やお酒を味わう「スナック京海(きよみ)」。

      ▲仕事を通して地域と関わる「ふるさと兼業相談所」。

      つづいては、京都移住計画の田村篤史が聞き手となり、シンク・アンド・アクト株式会社代表取締役の伊澤 慎一(いざわ・しんいち)さんのお話です。

      セミナー1:産学公民でつくる未来型の田舎暮らし

      伊澤 慎一さん / シンク・アンド・アクト株式会社 代表取締役
      1978年、福井県生まれ。一般社団法人京都スマートシティ推進協議会の構成社員。その他、舞鶴SDGs推進プロジェクト事務局として社員が常駐。京都を中心に社会課題を解決しうる持続可能な事業創出に挑戦中。
      HP:https://www.thinkandact.jp/

      全国で10自治体のみに与えられる「SDGs(※2)モデル事業」に舞鶴市が選定され、「舞鶴版SDGsリーダーシッププログラム」を開催するにあたり、事務局としてプロジェクトの運営に携わっている「シンク・アンド・アクト株式会社(以下、T&A)」。人材・組織開発、採用に関するコンサルティングや、新規事業開発時のマネジメントを得意としている会社です。

      当プロジェクトに参画するにあたり、地元企業・住民のニーズをヒアリングするため、T&Aで働く社員のひとりが舞鶴市に常駐。そのほかにも、行政や民間企業、大学、そして、住民と協働しながら様々なプロジェクトを進めています。同社代表取締役の伊澤さんからこれまでの取り組みをお聞きし、 “未来型” の田舎暮らしについて考える時間となりました。(事業実績はこちら:https://www.thinkandact.jp/works

      (※2)SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)・・2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。(外務省HPより一部抜粋)

      伊澤さん:現在、舞鶴市にあるコワーキングスペース「Coworkation Village MAIZURU」を活用しながら、観光で訪れる(バケーション)+働く(ワーク)という「ワーケーション」の導線づくりについて検討を進めているところです。新しく社員が入社した時や、社長が変わった時のチームビルディングを行うための合宿場所としての利用や、訪れた先で副業・兼業として関われる新たな仕事が生まれるような流れができたら理想だと考えています。今後は、モニターツアーの実施も予定しています。

      そのほかにも、IT人材育成の一環として中学生向けにプログラミングの授業を行うなど、コワーキングスペースを活用した教育事業も進行中なのだとか。

      ここからは、進行役の田村とのディスカッションへとうつります。

      田村: セミナーのタイトルにもなっている “未来型” の田舎暮らしとは、どんな暮らしだと思いますか?

      伊澤さん:暮らし方については、それが現在であっても未来であっても、都会であっても田舎であっても、大切にするべきことは変わらないように思います。現代は、YouTubeやAmazonもありますし、昔よりも田舎の暮らしは便利になりました。そういう意味でも “心の豊かさ” が、これから暮らしていくうえでいちばんの指標になると思いますね。いくつかのコミュニティに所属することも、心が豊かに暮らせるヒントかもしれません。

      田村:自治体や企業、住民、あるいは学生が、今後まちを「共創」していくために必要なことはなんだと思いますか?

      伊澤さん:自治体は、短期的な数値目標だけでなく、長期的なビジョンをもてるかどうか、また、都市部にある大企業だけではなく、やる気のある地元のプレーヤーを信じられるかだと思います。企業は、補助金や助成金が着火剤であることを認識できるかどうか。住民は、「この地域には何もないから・・」と簡単に言ってしまわずに、地域に誇りや自信をもてるかどうか。それぞれが連携しあいながら、地元の若手人材を育てていくことが必要だと考えています。

      「プロジェクト博覧会ブース」のご紹介(後編)

      ▲福知山公立大学の学生企画チーム「DOKKO」による「進学移住者支援プロジェクト」ブース。

      ▲市職員による京都北部7市町への移住相談ブース。

      ▲迷った方はまずはここへ。早わかりプロジェクト博覧会!

      つづいては、坂田さんが進行役となり、プロ博実行委員メンバー3名によるクロストークです。

      セミナー2:UIターンで始めた地域プロジェクト

      スピーカーは、(株)大滝工務店代表取締役/(一社)KOKIN代表理事の大滝雄介さん(舞鶴市・Uターン)、里山ゲストハウスクチュール オーナー/旅行会社MATATABI代表の工忠 照幸さん(綾部市・Iターン)、もんどりや代表の杉本 健治さん(伊根町・Iターン)の3名です。
      ・KOKIN:https://kokin.online/
      ・里山ゲストハウスクチュール:https://guesthouse-couture.com/
      ・もんどりや:https://mondoriya.com/

      まずは、それぞれの取り組みを紹介していただき、その後、クロストークがはじまりました。

      坂田:こうして京都北部と都市部を行き来するなかで、みなさんがこれからやっていきたいと考えていることは何ですか。

      大滝:有名な観光地だけでなく、舞鶴にある人や場所の魅力にスポットをあてて、ローカル観光のツアー開発をしていきたいと考えています。そういった事業を実施していくにあたり、地域でコーディネーターとして動ける人材の育成をしていけるといいなと思います。

      工忠:現在、大滝さんと一緒に「天職観光 〜暮らし方を考える旅〜」というプログラムを舞鶴・綾部で実施しているのですが、このツアーに参加してくれるような “観光以上・移住未満” の関わりを求めて地域を訪れてくれる人を増やしていきたいです。

      杉本:今日、会場で皆さんに楽しんでいただいた「スナック京海」のプロジェクトを、京都市内で具体的に進めていきたいと考えています。京都北部のファンを増やしていけるような、京都北部の情報が集まるような場やコミュニティづくりをしていきたいですね!

      坂田:仕事やプロジェクトなど現在やっていることについて、UIターンした当初はどのくらいイメージできていましたか。

      大滝:「KOKIN」では、舞鶴に “あったらいいな” と思っていたことや、自分たちがやりたいことをやっているので、“やっとここまでできた” という感覚です。カフェやゲストハウスは、ほかの地域を訪れるなかで舞鶴にもほしいと思っていました。

      工忠:「ゲストハウスをやりたい!」というのは、移住前から考えていたことですが、それ以外は綾部に来て、地域の方との関わりからはじまった仕事やプロジェクトが多いですね。

      杉本:地域おこし協力隊として訪れた当初は、カフェをやりたい!と話していました。ですが、地域の課題や訪れる方のニーズと向き合っていくうちに、水産資源を活かした加工品づくりへたどり着きました。

      坂田:UIターンをして感じる自身の変化や、移住後のライフスタイルについて教えてください。

      大滝:18時には仕事が終わりますし、家も職場と近いので圧倒的に時間が増えました。その時間を、家族との時間や「KOKIN」の活動、これからやっていきたいことへの準備期間としてあてています。「天職観光」では、そういった暮らしの様子を見学に来てもらえたら嬉しいです。

      工忠:カレンダーを見ると予定だらけになっていることが多々あります。僕が住んでいるのは里山なので、仕事以外にも草刈りや消防団など、地域活動もたくさんあります。スローライフとは程遠い生活ですね(笑)

      杉本:都市部で暮らしていた頃は、なんでも消費する生活だったのですが、伊根に移住してからは “つくる” 側になることが増えました。若者の娯楽と呼べるものが多くはないので、自分たちでイベントを企画することもあります。自分たちの楽しみを “つくる” という発想ですね。あと、京都北部は物理的に遠いと思われがちですが、現場を見ると心理的な距離が近くなるので、ぜひ一度訪れていただけると嬉しいです!

      最後に、プロ博事務局によるワークショップです。

      ワークショップ: 京都北部とつながるワークショップ

      プロ博実行委員の市瀬さんから、京都北部の「仕事」や「就職」に関する状況をお話いただき、参加された学生や会社員、教授、クリエイターと一緒に解決策を考える時間となりました。

      たとえば、学生がインターンシップやアルバイト的に地域と関わる仕組みがつくれないか、デザイナーが旅をしながら仕事ができる・新たな仕事が生まれる受け皿がつくれないか・・・などなど、これから京都北部で試してみたいアイデアがたくさん生まれました。

      ▲京都北部7市町おなじみの「セブン」ポーズで記念撮影をし、「京都北部プロジェクト博覧会」は幕を閉じました。

      「京都北部プロジェクト博覧会」が目指す最終的なゴールは、それぞれの地域への「移住」を考えてもらうことなのかもしれません。ですが、地域の魅力を発信したり、盛り上げる方法を一緒に考えたり、都市に住まいながら出身地や地域と関わる選択肢があることを、もっとたくさんの人に知ってもらえたらうれしいです。京都北部にUIターンした人の暮らしや仕事に出会う、「暮らし仕事の探求ツアー」にも、ぜひ参加してみてくださいね!

       

       

      ■【リクエスト随時開催】暮らし仕事の探求ツアー(京都北部の生き方を知る)

      ▼詳細は京都移住コンシェルジュHPへ
      https://concierge.kyoto-iju.com/event/hokubu7citytours

      ▼京都移住コンシェルジュ
      https://concierge.kyoto-iju.com

      問合せ
      事業担当:株式会社ツナグム 藤本 和志(fujimoto@tunagum.com)

      記事の作成に関わってくれたクリエイター

      巻き込まれたい方大歓迎!肩書きを越えたチームでつくる、京都北部の移住促進プロジェクト

      2016年度からはじまった京都北部7市町の連携事業。

      これまで実施してきたプロモーション企画「たんたんターン」を皮切りに、2018年度から官民連携の持続可能な移住施策づくりを目指し、UIターンした民間のプレイヤーと協働しながらイベントを開催してきました。

      2019年2月に開催した「地域の未来をつくる小さな事業のはじめ方」の様子。

      移住施策は、自治体の担当者だけが取り組むことではなく、UIターンしたプレイヤーや地元住民など、みんなで協力しながら地域を盛り上げていくことが大切です。

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      2019年5月に開催した行政担当者向けのワークショップの様子。

      今年の秋には、本プロジェクトを通して出会った民間プレイヤーから構成される実行委員会メンバーで、UIターン推進へ向けた大きなイベントを企画しています。

      プロジェクトに関わるみなさんの関係性をさらに強化し、イベントの企画内容をより良いものにしていくため、2019年6月26日(水)に京丹後市の「丹後暮らし探求舎」イベントスペースにて実行委員会のキックオフイベントが開催されました。

      はじめに、京都府内各地への移住をサポートしている「京都移住計画(株式会社ツナグム)」の藤本より、この場を開催する目的が共有されました。

      藤本(和):UIターン推進事業を進めるにあたり、実際に京都北部へUIターンされた民間プレーヤーの方々と行政と一緒に移住施策をつくっていきたいと思っています。また、民間プレーヤーのみなさんが得意とする分野ごとに「テーマ × 移住」の新規プロジェクトを立ち上げ、都市部からの関係人口の創出にもつなげていけたらと考えています。

      藤本(和):今年の秋には、この後お話いただく「尼崎ENGAWA化計画」の藤本 遼さんが企画に携わっている「生き方見本市」のような、多様な生き方やキャリアの選択肢を知るイベントを、この場に集まっていただいた京都北部7市町のみなさんと開催したいと考えています。“自分だったらどういったテーマでこの企画に関われそうか” という視点を大切にしながら、今日の時間を過ごしていただけると嬉しいです。本日もよろしくお願いします!

      藤本 遼さんのお話を伺う前に近隣の方とチェックイン!
      会を重ねるごとに顔なじみのメンバーが増えていきます。

      チェックインで会場の雰囲気が和らいだ後は、いよいよ藤本 遼さんのお話に移ります。

      キーワードは、いろんな立場の人が思わず関わりたくなる「余白」

      第1部では、兵庫県尼崎市でさまざまな地域プロジェクトを企画している「尼崎ENGAWA化計画」の藤本遼さんをお招きして「まちの人を巻き込むプロジェクトづくり」の事例についてお聞きしました。

      藤本 遼(ふじもと りょう)さん 尼崎ENGAWA化計画/場を編む人

      1990年生まれ。兵庫県尼崎市出身・在住。尼崎ENGAWA化計画代表。関西大学経済学部を卒業後、NPO法人に就職。独立を経て、現在は地元・尼崎市を中心に、イベントの企画や空間のプロデュースをはじめ、ワークショップのファシリテーション、対話・恊働に関する研修など、場づくりやまちづくりに関わる仕事・活動を展開している。活動のコンセプトは「あわいと余白のデザイン」。2019年9月に開催予定の「生き方見本市KANSAI」実行委員長。

      藤本(遼):本日はよろしくお願いします。僕は、地元の兵庫県尼崎市で、まちの人たちを巻き込んだプロジェクトの企画・運営、空間のプロデュースなど、「場づくり」や「まちづくり」と呼ばれる分野に5年ほど携わっています。今日はこれまで実施してきたイベントや、プロジェクトを企画するうえで大切にしている要素についてご紹介していきたいと思います。

      ここからはダブル「藤本」でお届けしていきます! 会場:(笑)

      1年を通してさまざまなプロジェクトを企画している藤本さん。尼崎市民や会社員、まちづくりについて学ぶ大学生、行政職員など、さまざまなメンバーが企画ごとに関わっているそうですが、多様な人たちとプロジェクトをつくるにあたって、どのようなことを心がけているのでしょうか。

      (写真提供:藤本さん)

      2016年7月にはじまった「カリー寺」は、その名の通り「カレー」と「お寺」を掛け合わせたイベント。

      藤本(遼):「カリー寺」は、 “お寺でカレーを食べたらおもしろそう!” と思ったところから企画がスタートしました。そこから、仏教・・ということはネパールやインドに所縁がある・・そういえばインド人って本当に3食ともカレーを食べるのだろうか? と連想していくうちに、「アジアの文化も知れそうだし、お寺でカレーイベントを開催したらおもしろいかも!」と思うようになったんです。

      「カリー寺」イベント当日の様子(写真提供:藤本さん)

      藤本(遼):1回あたりのイベントに、お米が6〜70kgほど必要なのですが、実際に炊いてみるとブレーカーが飛んでしまって。でもこれって、災害時の炊き出しの予行演習にもなると思うんですよね。そういった「防災」の側面、「多文化理解」の側面を掛け合わせていくことで、カレーイベントをお寺でやることの意味づけをしていきました。「カリー寺」は現在、東京・福岡にも広がっており、西正寺がカリー寺の総本山になっています(笑)。

      「ミーツ・ザ・福祉」イベント当日の様子(写真提供:藤本さん)

      続いて紹介していただいたのは「ミーツ・ザ・福祉」というイベント。イベント開催するにあたり、月に1回オープンミーティングの場を設けています。

      藤本(遼):尼崎市では、ハンディキャップをもつ方と一般の方が交流できる「市民福祉のつどい」という取り組みが1982年から続いています。ですが、こういった啓発系のイベントは、普段からその情報を得ようとしている層にしか届かないと感じていて。より多くの方に届けるにはどうしたらいいだろうかと考え、2017年度からは企画自体を実行委員会形式にして、みんなでつくるプロセスに変えていくことにしました。

      オープンミーティングの様子・毎回50名ほどが集まります。(写真提供:藤本さん)

      藤本(遼):ひと言で「障がい」と言っても、人によってさまざまな違いがあります。「ミーツ・ザ・福祉」では、 “障がいのある人” や “健常な人“ という風にカテゴライズするのではなく、そこにいるひとりの「◯◯さん」と知り合うことで、その間にある境界線を薄めていくことを目的としています。

      垣根を超えたつながりが生まれる場をどうやってつくるか、多様なメンバーが関われる余白をどうデザインしていくのか。藤本さんのプロジェクトではそういった観点を大切にしているそうです。

      (写真提供:藤本さん)

      最後は、多様な生き方を知り・考える見本市「生き方見本市」のお話へ。2017年に東京・清澄白河ではじまったこの企画は現在、日本全国へと広がりをみせており、藤本さんは2019年9月に開催予定の「生き方見本市KANSAI」で実行委員長を務めています。

      2017年から始まった「生き方見本市」は、さまざまな領域で「生き方」の実験をしているチャレンジャーをゲストに迎えながら、これからの生き方について考える日本各都市同時開催のトーク&交流イベントです。(HPより一部抜粋)

      藤本(遼):イベントの様子は、2018年に開催した「生き方見本市 KOBE」の動画を見ていただけたらと思いますが、ゲストスピーカーを含めた参加者の8割くらいは20、30代が占めています。参加してくれた200名のうち、おおよそ3割の方が「生き方見本市」の運営に何かしらのカタチで携わりたいと言ってくれているのも、この企画の特徴かもしれません。実際、第1回の参加者がその後の企画に中心メンバーとしてコミットしています。

      藤本(遼):どんなプロジェクトにも、常に関わりしろを用意しています。「生き方見本市」では、世代や目線が近い人たちのお話を聞きながら “自分も関わってみたい!” と思ってもらえるような場にしていくことを心がけていますね。当日の雰囲気や、事前の会議が楽しかったら自然と足が向かうでしょうし、安心してプロジェクトにも参加してもらえると思うから。

      藤本さんが仕掛ける企画に共通するのは、関わりたい!と思った方へ関わりしろをきちんと用意していること。そして、本人の関わりたい度合いに合わせて役割を振り分けていることです。そういった適度な “ゆるさ” を担保しながら、藤本さんは多様なメンバーが安心して集まれる場をつくっているようです。

      藤本(遼):「生き方見本市」には毎回、多様な方々が参加してくれます。そのなかでも印象的な出来事があって。とある参加者から、障がい当事者の方へ向けて「どうやったら『福祉』や『障がい』という分野に関わることへのハードルを下げられるか」と問いかけがあった時に、彼が「僕と友達になったらいい」と言ってくれたんですよね。そういった「問い」が自然に生まれる場をつくることも、さまざまなプロジェクトを企画する上で大切にしています。

      お話のあとは、質疑応答へと移ります。

      会場からの質問

      Q.多様な方とプロジェクトを進めるようになった背景についてお聞かせください。

      A.考え方ややり方が近しい人ばかりだと、意見が異なったときに居づらくなる可能性がありますよね。「みんな違う」という前提で居られる場があることが、すごく心地のいいことだと思っています。そういったメンバーでプロジェクトを企画すると、自分ひとりが想像していた以上の発想が生まれていきます。

      Q.お話の中で「ビジョン」や「意義」を語らないとおっしゃっていましたが、どうやって人を巻き込んでいるのですか?

      A.対話の中でその人が好きなものは何か、どういう嗜好性があるのかを聞き、個々人の想いを吸い上げて巻き込んでいくようなイメージです。ただ、チームでものごとを進めていく上で「コンセプト」はきちんと語るようにしています。

      Q.これだけのプロジェクトをどういう組織で進めていますか?

      A.基本的には個人で行なっています。あとは、学生インターンの子たちが20名ほどいるので、それぞれのプロジェクトを一緒に進めてもらっています。

      Q.活動のいちばんのモチベーションはなんですか?

      A.人との出会いですね。この人と一緒にこれからいろんなことをやっていきたい! と思える出会いが毎回あることです。

      じぶんごとから始まる、京都北部7市町の新たな移住プロジェクト

      第2部では、京都北部で活躍する民間プレーヤー6名に「◯◯× 移住」で話したいテーマを出していただき、どういったカタチで移住施策に反映していくか、じぶんごととして関われそうか、会場に集まったみなさんで意見交換を行いました。

      グループ① 工忠 照幸さん(MATA TABI代表・綾部市)× 辻井 貴之さん(行政職員・宮津市)
      トークテーマ「観光をきっかけにした地域との関係性づくり」

      2013年に大阪市から綾部市へ移住した工忠さん。里山ゲストハウス「クチュール」と、旅行会社「MATA TABI」を経営しています。

      工忠:移住やUターンを検討されている方を対象に、地域資源を一緒に発見していけるようなツアーをつくりたいと考えています。現在、取り組みをはじめている「天職観光」に興味がある方とも連携していきたいですね。また、僕自身が携わっている地域の魅力発見やガイド、ツアーの運営などを一緒にやってくれる仲間を募集しています!

      辻井さんは、現在宮津市に住んでいる京都府職員。京都府内各地をもっと深く知ろうと、休日も積極的に地域へ足を運んでいます。漁師の元を訪ねて、朝から筏の見学をしたこともあるのだとか。

      辻井:行政職員ではありますが、市民側・巻き込まれる側として参加させてもらえたらと思います。京都北部のおもしろいイベントや人の情報をしっかり発信していきたいです!

      グループ② 大滝 雄介さん(KOKIN代表・大滝工務店代表取締役・舞鶴市)
      トークテーマ「まちぐるみの受け皿づくりと地域プロモーション」

      2007年に東京都から舞鶴市へUターンしてきた大滝さん。家業を継ぐ傍ら、まちづくりチーム「KOKIN」を結成し、レンタルスペース、ゲストハウス、日替わり店長のチャレンジショップなど、まちを楽しむ人を増やすための活動をしています。

      大滝:舞鶴市には文化財に指定された銭湯が2つあります。大切な地域文化である町並みを未来に残していくために、また、舞鶴市を何年先もずっと暮らし続けたくなるまちにしていくために、地域側へのアプローチと、地域外へのプロモーションを促進していきたいです。

      グループ③ 市瀬 拓哉さん(NPO法人地球デザインスクール理事・京丹後市)
      トークテーマ「副業・兼業的関わり大歓迎!仕事ニーズ調査」

      2009年に東京都から京丹後市へ移住した市瀬さん。現在は「丹後海と星の見える丘公園」にて、森林計画や環境教育プログラム、キャンププログラムなどに従事しています。

      市瀬:地域には、季節労働的な仕事やクリエイティブ系の仕事など、ハローワーク等に掲載していないような仕事が結構あるんです。そういった情報を、移住希望の方や地域と関わってみたい方のニーズを調査することから、地域内外のつながりや仕事の行き来が生まれたらと思っています。

      グループ④ 濱田 祐太さん(株式会社ローカルフラッグ代表取締役・与謝野町)
      トークテーマ「若者のチャレンジを応援したい!ふるさと兼業と自身の起業について」

      大学で勉強する傍ら、地元の与謝野町を盛り上げていきたい、与謝野町の資源を活用して起業する人を増やしたいと「ふるさと兼業」や「Challenge for Yosano」の取り組みを進めている濱田さん。

      濱田:7月1日に「株式会社ローカルフラッグ」という会社を与謝野町に設立する予定です。都市部の人材と地域の企業を、副業・兼業でつなげたり、地域課題を解決していくソーシャルビジネス創造の動きを加速させていきたいと思っています! このまちに足を運んで、チャレンジしていく若者を増やしていきたいですね。

      グループ⑤ 杉本 健治さん(もんどりや代表・伊根町)
      トークテーマ「京都市内に京都北部7市町の発信・交流拠点をつくりたい!」

      2014年、伊根町の地域おこし協力隊に就任したことをきっかけに伊根町へやってきた杉本さん。任期終了後は、地域の漁業や観光業をもっと盛り上げていきたいという思いで、水産加工品開発の「もんどりや」を設立されました。

      杉本:京都市内に拠点を構えて、京都北部に所縁のある方や関わりを持ちたい方が集まるコミュニティをつくっていけたらと思っています。現在、京都市内の店舗と打ち合わせを進めているところです。丹後半島に興味がある若者や大学生をどんどん地域側へつないでいきたいですね。

      グループ⑥ 坂田 真慶さん(丹後暮らし探求舎・京丹後市)
      トークテーマ「地元スーパーのにしがきさんと一緒に何かしたいなぁ・・・(笑)」

      坂田:「丹後暮らし探求舎」の事務所があるこの場所を通して、まちの人たちともっとコミュニケーションできる場づくりをしていきたいです。地元で “何かしたいけどどうすれば・・・” とくすぶっている方とも出会っていきたいですね。あと、近所のスーパー「にしがき」さんと何か一緒に企画をやってみたいので、お知り合いの方はぜひつないで下さい!

      第2部は、民間プレーヤーを中心にざっくばらんにお話をする時間となりました。これから、実行委員会メンバーでそれぞれのテーマを深掘りしながら、京都北部7市町の移住プロジェクトに反映していく予定です。

      おなじみの京都北部7市町「セブン」ポーズで記念撮影!

      交流会も大いに盛り上がりました!

      いよいよ、この秋にイベントの開催を迎える京都北部7市町のUIターン推進事業。イベントをつくるプロセスを一緒に楽しんでいけるメンバーが集まっています。

      今後のイベント開催スケジュール

      ■ 10月12日(土)@市民交流プラザふくちやま
      ■ 11月23日(土)@KOIN(四条烏丸)

      詳細は改めて「京都移住計画」のFacebookページでご案内させていただきますが、どちらも、京都北部の地域や人とつながる機会となっています。

      京都への移住を検討している方はもちろんのこと、地域と新たな関わりを求めている方も、まずはこの秋に開催されるイベントから巻き込まれてみませんか?

      ▼たんたんターン(京都府北部UIターンプロジェクト)
      https://kyotohokuburenkei.jp

      ▼京都移住コンシェルジュ
      https://concierge.kyoto-iju.com

      問合せ

      事業担当:株式会社ツナグム 藤本 和志(fujimoto@tunagum.com

      記事の作成に関わってくれたクリエイター

      • : 京都府北部地域連携協議会

      官民連携チームでつくる京都北部7市町の新しい移住施策 ~肩書きをはみ出たつながりから生まれる。

       

      2016年度からはじまった京都北部7市町の連携事業。

      これまで実施してきたプロモーション企画「たんたんターン」を皮切りに、2018年度から官民連携の持続可能な移住施策づくりを目指し、UIターンした民間のプレプレイヤーと協働しながらイベントを開催してきました。

      2019年2月には、塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課シティプロモーション係長 / 空き家プロジェクトnanoda代表の山田 崇さん、株式会社ツナグム代表取締役 / 京都移住計画 代表の田村 篤史さんをゲストに迎え、『地域の未来をつくる 小さな事業のはじめ方』というイベントを開催。

      当日、会場に集まった約40名の参加者が、行政・民間・住民など 肩書きや立場を越えて話し合い、それぞれが思い描く地域の未来へ向けた、次のアクションを考える時間となりました。

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      地域一体となって「移住」を促進していくために欠かせない「官民連携」。

      移住施策は自治体の担当者だけが取り組むことではなく、UIターンしたプレイヤーや地元住民など、みんなで協力しながら地域を盛り上げていくことが大切です。

      本プロジェクトを通して実施してきたUIターン推進の取り組みや、そこで生まれた関係性をさらに強化していくため、2019年5月30日(木)に舞鶴市の赤れんが「Coworkation Village MAIZURU」にて、7つの自治体の担当者向けのワークショップが開催されました。

      担当者の枠を越えて、チームで取り組む移住施策

      はじめに、京都へ移住したい人、暮らしたい人を応援する京都移住計画(株式会社ツナグム)の藤本 和志さんから、この場を開催する目的が共有されました。

      藤本:これから官民連携を強化していくにあたって、まずは官同士で関係性がつくれたらいいなと思いこの場を設けました。今日は、7つの自治体の ”移住担当者” という立場を越え、この場にいる ”自分” のこと、そして ”みんな” のこととして今後の取り組みを考えていけたらいいなと思っています。

      ここからの時間は、会議のように意見を出し合うというよりも、対話することを心がけながら過ごしていただけると嬉しいです。

      ワークショップは2部構成。司会・進行は、田村さんが務めます。

      田村:2月にお会いした方もはじめましての方もおられるかと思いますが、本日はどうぞよろしくお願いします。

      この官民連携のプロジェクトを進めていくうえで大切にしたい「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」という4つサイクルがあります。多様なメンバーが関わるなかで「関係の質」が変わりはじめると、最終的な「結果の質」にもいい影響が生まれていきます。

      今日は僕たち京都移住計画のメンバーも含めて、肩書きや立場を越えた関係性をつくっていけると嬉しいです。

      株式会社ツナグム代表取締役 / 京都移住計画 代表の田村 篤史さん。

      第1部では「ストーリーテリング」という手法を活用して、担当者同士の交流を深めます。

      ▼ストーリーテリングとは?

      ストーリーテリングは、話者(ストーリーテラー)、聞き手(ハーベスター)、これを観察する立会い人(ウィットネス / 記録係)の3役を置いて進められる対話型のワークショップです。今回はランダムにグループ分けされた3人1組で、移住の仕事に関わる背景や個人の想いなど引き出す質問項目を元に、それぞれインタビューを行いました。

      今回のインタビュー項目はこちら。

      会場は、隣の倉庫へと移ります。

      この場ではじめて顔を合わせるメンバー同士も。

      それぞれの、仕事に対する想いが聞こえてきます。

      会場からは、「売れるかな? と不安だった空き家が成約に至った!」「自分が担当していた方の移住が実現した!」といった、この仕事をしていて嬉しかったエピソードや、

      「自分が地元側から発信することで同級生たちに戻ってきてほしい」「どうすれば、自分の子どもたちが将来Uターンしてくれるのかを考えている」「自分自身が孫ターンなので、都市部の暮らしと比較しながら相談にのることができる」など、当事者として移住施策に携わっている声を耳にしました。

      また、ワークショップの最後には「こういう場が苦手だったけれど楽しかった」という感想もあり、ストーリーテリングを通して担当者同士の人となりを知りながら、終始会話が弾む和やかな時間となりました。

      行政側の「民」と民間側の「官」でつくる新たな移住施策

      ワークショップにつづく第2部は、官民連携の事例として田村さんによる「京都移住計画」の紹介からスタート。

      そのあと、京丹後市の移住施策を行う市長公室政策企画課の蛭子 ひとみさんと「丹後暮らし探求舎」の坂田 真慶さんがスピーカーに加わり、京丹後市の官民連携事業が誕生したプロセスについて、自治体(官)側・民間(民)側、の両方からお話を伺いました。

      田村:僕たち京都移住計画は、「居(コミュニティづくり)」「職(求人情報)」「住(物件情報)」という3つの分野から、京都へ移住したい人へ向けた情報発信をしています。

      もともと有志のメンバーが集まってはじめた取り組みでしたが、だんだん活動が広がっていくうちに、京都の企業や不動産のオーナー、大学、行政の方々から仕事を依頼されることが増え、2015年に株式会社ツナグムを創業しました。

      みなさんと移住施策の方で関わりのある「京都移住コンシェルジュ(京都府)」をはじめ、 “人と人、人と場のつながりを紡ぐ。” をコンセプトに、中間支援組織として地域や組織と関わるプロジェクトの支援、企画づくりなどに携わっています。

      そういった官民連携の動きは現在、京丹後市でも生まれています。ここからは、移住施策を担当する蛭子さんと丹後暮らし探求舎の坂田さんから京丹後市の事例を伺っていきたいと思います。

      坂田:僕はもともと東京出身で、京都移住コンシェルジュの東京窓口を担当していました。丹後を訪れながら地域や人の魅力に触れていくうちに自分自身が移住したくなり、2年前からこちらに住んでいます。

      京丹後市を含めた丹後のエリアには、地域の外から人を引っ張ってくる地元のキーマンや、UIターンをして地域を盛り上げるプレイヤーの方がたくさんいて、そういった人たちがよそ者だった僕を地域側に巻き込んでくれたんです。当時のことを思うと、移住する前から地域との関わりがあったので とても心強かったですね。

      2019年に、京都市から京丹後市へ移住した小林 朝子さんと一緒に「丹後暮らし探求舎」を立ち上げ、京丹後市からの業務委託を受けて移住の相談窓口を開設しています。移住後に望む暮らしをお聞きし、それに合わせた地域や人の案内、物件探しのお手伝い、イベント情報の発信をしています。

      関連リンク:丹後暮らし探求便

      丹後暮らし探求舎の小林さん(左)と坂田さん(右)。

      蛭子:もともと小林さんは、京丹後市役所の嘱託職員として移住に関する業務に携わってくれていました。相談者のことを第一に考えている小林さんにとって、行政の制約のなかでは動きづらさを感じていたと思いますし、私自身も彼女の動き方に対して「これは行政としての仕事なのか、プライベートなのか・・・」と線引きの難しさを感じることもありました。

      そんなある日、小林さんが独立したい気持ちがあることを知ったんです。

      移住者に限らず、地域で次のステップへ進みたいと考えている人に対して、応援できる行政・応援できる関係性でありたいと思っている私たちは、移住・定住施策に関する業務の一部を予算化し、業務委託というかたちで「丹後暮らし探求舎」にお世話になることを決めました。

      田村:京丹後市の事例のように、地域側にも行政側にもキーマンがいて、双方がサポート関係にあることが大切だと思っています。移住するにあたって仕事や物件があるかどうかも大切ですが、坂田さんが冒頭で話していたように、地域におもしろいコミュニティや人のつながりがあるかどうかが 最終的な移住の決め手となるケースが多いです。

      また、移住のハードルになりやすい仕事探しについて、民間と協働しながら新たな事業をつくることで、ハードルを解消できるのも行政だからこそできるサポートではないかと思います。

      蛭子:移住を検討されている方に、地域や人の魅力をどのように伝えていくのか。それは決して移住の担当課や一個人としてではなく、いろんな部署と協力し、課を横断しながらサポートしていくことが大切だと思います。京丹後市では、私が籍を置いている政策企画課だけでなく、まちづくりの一環として市民局、地域づくり推進室が一体となって移住施策に取り組んでいます。

      藤本:京丹後市をはじめ、比較的人口規模の小さい自治体では住民ひとりひとりが持っているパワーが大きく、連携することで発揮できる力も大きいです。だからこそ、多様な背景やスキルをもっている人々が集まってできることは、もっとたくさんあるはずだと感じています。

      7市町の移住支援をこの現場に関わる ”みんな” ごととして捉え、それぞれの取り組みやアイデアを今後もシェアしていけたらと思います。

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      京都北部7市町の「セブン」ポーズで記念撮影!

      世代や立場、肩書きといった枠を越えて「この人たちと地域を盛り上げていきたい!」と思えるチームで動いていれば、その地域の魅力はきっと伝わっていくのではないでしょうか。

      これからますますおもしろくなっていきそうな、京都北部7市町。近くの方も、遠くの方も、このプロジェクトに関わってみたい! という方みんなで 地域を盛り上げていきませんか?

      (文責:並河 杏奈)

      ▼たんたんターン(京都府北部UIターンプロジェクト)
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      問合せ
      事業担当:株式会社ツナグム 藤本 和志(fujimoto@tunagum.com)

      • : 京都府北部地域連携協議会

      自分ごとからはじめよう。 京都北部7市町が官民連携で取り組む自発的な移住施策づくりとは?

      京都北部7市町ではじまる新しい官民連携

       

      京都市内から車で1時間半〜2時間。京都府の北部に位置する福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町の7つの市町を7市町と呼び、京都府では2016年度から広域連携でUIターンを推進してきました。

      2016年度、2017年度はWEBサイト「たんたんターン」やプロモーション映像の制作を通じて、さまざまな移住の形を発信。

      京都府北部7市町 移住定住ポータルサイト「たんたんターン」

       

      2018年度はWEB発信に加え、ワークショップや交流会を開催し、自治体と民間企業、市民をつなぐ活動に取り組んできました。

      キックオフイベントは、2018年9月14日に福知山で開催。7市町の行政担当者向けワークショップを通じて、担当者同士の関係性づくりと、事業の方向性を共有した。

      2019年1月9日には、京丹後市峰山にて丹後キックオフ交流会を開催。民間人材のつながりをつくる場になった。

      2019年1月29日には、中丹キックオフ交流会を開催。丹後に続き、民間人材のつながりづくりの場となり、一緒に移住支援の取り組みを始める機運が高まった。

      2019年2月7日には、舞鶴キックオフ交流会を開催。民間人材同士が集い、取り組んだワークショップでは、舞鶴の魅力を再発見する機会になった。

       

      みんながつながり・じぶんごとからはじめる第一歩

      こうして2018年度は、福知山で開催した行政向けのワークショップにはじまり、丹後・中丹・舞鶴の3ヶ所で民間人材の交流の場をつくってきました。

      そして行政と民間人材がつながり、共に事業をつくる第一歩として開催したのが、2019年2月16日(土)に与謝野産業創出交流センターにて開催した、「地域の未来をつくる小さな事業のはじめ方」です。

      京都北部で活動する行政も民間企業も、みんなが集い、つながり、地域の未来をつくろうーー。その呼びかけに、約40名の参加者が集まりました。

      イベントは京都へ移住したい人、暮らしたい人を応援する京都移住計画(株式会社ツナグム)の藤本和志さんと、事業コーディネーターとして関わる丹後暮らし探求舎の坂田真慶さんの司会・進行ではじまりました。

      左:京都移住コンシェルジュとして都市と地方をつなぐ藤本さん、右:京都北部で移住支援を行う坂田さん

       

      藤本:行政と民間人材、それぞれが地域のために活動していますが、一緒に仕事をする機会は少ないです。本日の場が、行政も民間人材も一緒に地域の未来について考え、協働するきっかけになれば嬉しいです。

      坂田:地域に住んでいると距離的には近くても、コミュニティの固定化が起こりやすく、お互いのことをゆっくり話す機会は少ないように思います。本日は多様な人と出会っていただき、一緒におもしろいことを仕掛け、助け合い、応援できる仲間を見つける機会になれば嬉しいです。

       

      「◯◯なのだ」からはじまるシティプロモーション

      藤本さん、坂田さんのお話のあとは、ゲストトークに移りました。一人目のゲストは、山田 崇さん。塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課シティプロモーション係長であり、空き家プロジェクトnanoda代表です。

      長野県塩尻市は、人口約6.6万人。JR東海の終着駅で、東海と関東をつなぐ交通の要所にもなっているまちです。

      山田さん

       

      山田さんは現在公務員として働く傍ら、年間210回(2018年度)の講演活動を行うなど、地域を飛び出し精力的に活動されています。

      数々のプロジェクトを展開し、全国から引く手あまたの山田さんですが、今の活躍につながったはじめの一歩についてお話してくれました。

      山田:僕にとって、あのときがあったから今があると思える出来事は、2012年。塩尻の大門商店街にある一軒の空き家を自腹で借りてスタートした、空き家プロジェクト「nanoda」です。コンセプトは、誰もがやりたいことに自由に挑戦できる場。「◯◯なのだ」を合言葉に、今日からチャレンジできることを大切にしています。

      プロジェクトが生まれたのは、公務員として働く中でこんな疑問をもったから。

      山田:商店街に住んだこともない。商売をしたこともない。そんな市職員が想像で施策をつくっても、他人事だからうまくいきません。だから市職員25人で、商店街の空き家を借りたんです。

      塩尻市で起こっていることを自分事にするため、小さな一歩を踏み出した山田さん。そこから山田さんの人生は、大きく動いていきました。

      平日朝に一緒に朝ごはんを食べる「朝食なのだ」、まちに空き家掃除をする「空き家お掃除なのだ」、塩尻ワインを飲む文化を醸成しようと毎月20日に開催する「大門商店街でワインなのだ」などを展開。楽しみながら、自分事でできることを増やしていきました。

      その後、2014年に長野県佐久市で開催された「TEDxSaku」に出演したところ、動画が31,000回シェアされ一躍有名人に。全国各地から講演依頼が来るようになったのです。

      一歩踏み出したことで、想像していなかった世界に辿り着いたと振り返る山田さん。最後に、こんなメッセージを届けてくれました。

      山田:今日のような場は、すぐ仕事にならなかったり価値が生まれなかったりするかもしれません。でも公務員としての仕事以外の時間に人と出会い、出会った人と一緒にプロジェクトをはじめたことが、今につながっています。

      「こんなこと言ってもいいのかな」、「誰も共感してくれないんじゃないかな」と思うことも、ぜひ今日は発言して欲しい。この場からどんなことが始まるのが、私もドキドキ、楽しみにしています。

       

      一つの問いから始まった京都移住計画

      京都府長岡京市出身。大学卒業後、東京で4年間働いたのち、京都市へ移住。

       

      二人目のゲストは、株式会社ツナグム代表取締役であり、京都移住計画 代表の田村篤史さん。田村さんからは、自分事からはじまった事業の例として、自身が立ち上げた京都移住計画の成り立ちと、新しい事業や関わりの生み方のヒントをシェアしていただきました。

      田村:僕がお話しすることのテーマは、「自分事からはじめよう」。たった一人の私からはじめて、共に活動する仲間ができ、世の中にも必要だと認められて公に対してもインパクトあるものになるーー。そうした自分事のプロジェクトが育っていった一つが、2012年にスタートした京都移住計画です。

      最初に持った問いは、「みんな東京で、一生暮らしたいと思っているのかな?」。僕はいずれ京都に帰る予定だったことと、人材系の会社でキャリア支援の仕事をしていたこともあり、目の前の相手がどういうキャリアを歩み、どんな人生を送るかに興味がありました。

      さまざまな人に話を聞く中で、いつかは地元に帰りたいと思っていても、いつかが決まっていないこと。そして、地方から東京へ出ていくことよりも、戻ることは難しいことに、田村さんは気づいたそうです。

      田村:地元に戻りたいのに、戻れない。そのギャップを埋めるのは、仕事情報や今日のような場で人と出会うことだと思いました。そこで、京都へ移住したい人が集まるイベントを開催したり、京都の仕事や物件情報を掲載するサイトをつくりました。

      京都移住計画のメンバー

       

      活動をする中で京都の企業や不動産のオーナー、行政の方々からの仕事としての依頼を受けることも多くなり、田村さんは2015年に株式会社ツナグムを創業。移住・定住の支援を行う京都移住コンシェルジュ事業(京都府)など一部の仕事をツナグムとしても運営しています。

      自分事からはじまったプロジェクトのもとに仲間が集い、事業にまで発展した京都移住計画。最後に田村さんは、小さな事業のつくり方のヒントを教えてくれました。

      田村:ベクトルの和という手法があります。青と赤2つのベクトルを想像してください。青のベクトルは自分がやりたいこやテーマ。一方、赤のベクトルは他者や会社などの所属している団体です。青と赤それぞれで目指す方向があると思いますが、どちらかに偏るのではなく両方うまくいくような第3の選択肢をデザインすることが、プロジェクトをつくる時に大切なんじゃないかと思います。

      ベクトルの和の手法を活かして、京都移住計画では移住支援とメンバーの料理スキルを活かして、おいしい食事を食べながら交流できるイベントを開催。

       

      田村:京都北部にも地域のために活動している人や団体はたくさんいます。ただ、人や団体を星に例えると、たくさんありすぎて星空のように何がどれかわからない状態になっているんだと思います。だから星座のように線や面でみせることができたら、気づいてもらえるはず。今日はぜひ多くの人とつながって、7市町では活動している人や起こっていることが外からも見えるようになる一歩にしていただけたら嬉しいです。

       

      ワークショップで見つけたはじめの一歩

      二人のゲストトークを終えたあとは、参加者とゲストを交えてのワークショップに取り組みました。

      各自、A4の紙に興味あることややりたいことのキーワードを記入。似たようなテーマを持つ人や応援したい人とチームを組み、スキルや興味を掛け合わせてできるプロジェクトを考えてもらいました。

      「DIY」、「二拠点居住」、「酒」など様々なキーワードが飛び出した。

      5〜6人のチームに別れてワーク。それぞれのスキルや興味を掛け合わせて具体案を考えた。

       

      小一時間のワークショップを経て、酒や趣味に関心あるチームからは「余暇を楽しくするプロジェクト」、農業や食、林業に関心をもつチームからは「北部の食を伝えるプロジェクト」などが誕生。

      またゲストの山田さんがいたチームでは、イベントの開催も決定!圧倒的なスピード感と実行力を目の当たりにしました。

      山田:僕たちのチームには、コミュニティをつくりたい人、スペースを持っていてもっと活用したい人、ネットワークをつくりたい人が集まりました。そこで、スペースを活かしてイベントを開催することを決めました。まずは日にち。その場でメンバーの予定を合わせて、Facebookのイベントページもつくりました。

      日にちが決まると、3つのメリットがあります。一つは、対象日に予定を入れなくなる。二つ目は、早くから決まっていたら仕事を調整できる。三つ目は、最悪やめてもいい。布石を一個置くと、人は次の石をどこに置くか自然と考え始めるんですよね。

      だから何かやりたいと思っている人は、まず日付を決めるといいですよ。

       

      ▼ワークショップ中につくり、その場で公開された6月8日(土)のイベントページ
      荒山キクラゲハウスなのだ!ー福知山からU39ツアー

       

      はじめの一歩が具体的に決まったところで、イベントは終了。最後は、舞鶴の「mogmog」さんによるおいしいケータリングを囲んで、交流を深めました。

      京都北部の食材をふんだんに使った料理は、どれも絶品!食の豊かさを再認識した時間にもなった。

       

      民間発信の新たな移住ツアーやイベントが誕生!

      京都北部にある7市町で暮らす人々が集い、考え、交流する場を設けてきた1年。同じ市町に住む人同士、興味関心が似通っている人同士でつながったことで、早速いくつか新しい動きが生まれています。

      例えば、綾部の旅行会社MATATABIさんからは、地域横断のローカルツアー「暮らし方を考える旅 天職観光」が誕生。

      今まで綾部に特化したツアー企画を実施していましたが、交流会を通して出会った舞鶴のまちづくり団体「KOKIN」と連携し、地域横断の移住ツアーを実施することが決まり、3月6日に東京にて開催した移住イベントの参加者から6名の方が現地に足を運び、北部地域への移住を考える魅力的なツアーになりました。今後は他のエリアにも展開予定とのこと。

      また、中丹キックオフ交流会の会場となった綾部コワーキング神宮では、「綾部ご近所講師リレー」と題して、働き方をテーマにした見本市を開催。交流会でつながった方々をゲスト講師に招き、月1回実施をされており、北部地域での学びとつながりをつくる場になっています。

      ほかにも、舞鶴の民間人材がつながったことで「ディープ舞鶴発見ツアー」を2019年4月に開催。7市町地域と人が交わり合うことで、新たな動きが起こっています。

      2018年度に生まれたつながりを活かし、2019年度は7市町での働き方ロールモデルを発信するイベントを官民共同で開催予定。7市町でどんな人が暮らし、働いているのか見せることで、京都北部に興味を持つ人を増やすことをめざします。

      次年度以降も、京都北部7市町でどのような出会いが生まれ、プロジェクトが生まれるのかとても楽しみです。

      自分たちが暮らす地域で何かやりたい、という思いがあるのなら、一歩を踏み出しませんか?

      ▼たんたんターン(京都府北部UIターンプロジェクト)
      https://kyotohokuburenkei.jp

      ▼京都移住コンシェルジュ
      https://concierge.kyoto-iju.com

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      事業担当:株式会社ツナグム 藤本 和志(fujimoto@tunagum.com)

       

        空き家データベース 京都府北部の空き家情報
        京都府北部地図 伊根町 京丹後市 宮津市 与謝野町 舞鶴市 福知山市 綾部市