柴田織物の柴田祐史さんとお母さま。いつも仲の良いお二人で柴田織物を支えています。
丹後半島の付け根に位置する与謝野町。この丹後地方は古くから絹織物が盛んで、その歴史は聖武天皇に献上したと確認できるほど。江戸時代に始まった高級絹織物「丹後ちりめん」の一大生産地となった与謝野町では当時より分業制をとっており、各工程それぞれの技術をより高度なレベルで受け継いできています。
今回お話を伺った柴田祐史さんは、ここ与謝野町に5代続く織物工場「柴田織物」を継ぐため27歳の年にUターンされました。柴田織物は色糸で柄を織りあげる”縫取ちりめん”という贅沢な織りを手掛けています。柴田さんが戻られて3年後に先代が他界、着物業界の縮小もあって売上が半減。悩んだ末、「いっそ自分が着たいと思う着物を作ってみよう」と新しい着物制作へと挑戦することにしたそうです。第一弾として商品化したのはなんとマンホール柄!もともと電機メーカーで設計をしていた柴田さんならではの発想で、この他にも電子基盤柄やカモフラージュ柄など、オリジナリティ溢れるデザインを発表されてきました。特にカモフラージュ柄は、「2015きものサローネin日本橋」でメンズ部門一位を獲得するなど人気を博しています。さらに自身がモデルとして着物の新しい着こなし方を提案することで、今の世代が着たい着物として注目されるように。これが今までの下請けの卸中心から、デザイン・織り・販売までをこなすビジネススタイルへ移行する転機となりました。
伝統ある着物業界で、新しいことに踏み出すのは勇気がいること、そしてご苦労も多かったはずです。しかし、その挑戦のベースに受け継いできた丹後ちりめんの確かな技術があるからこそ、変わらぬ上質な着物と評価されているのでしょう。こうした経験も含め、織物業に就業するIターン人材を探す活動「与謝野ワーキングステイ・トライアル」や、丹後織物の若手職人チーム「TANAGO+」に参加し、着物の魅力を伝えています。
丹後ちりめんの伝統を革新した着物制作、次世代育成活動と、新たな着物文化を織り上げる柴田さんのこれからに目が離せません。
27歳の時に家業を継ぐためUターン。伝統的な丹後ちりめんから現代的なデザインの製品開発にも取り組み、ハリウッド映画の衣装に使用されたことも。「与謝野ワーキングステイ・トライアル」「TANAGO+」など、町の活性化や丹後ちりめんの織物普及活動に積極的に参加している。
▼スポットやサービス、商品の情報
ペンケースやブックカバーなどの小物類から着物の製作まで幅広い商品ラインナップの柴田織物。縫取ちりめんの特徴について、また製造工程や代表的な図柄までも丁寧に紹介しているホームページは読みごたえ十分。
URL | http://www.shibata-orimono.com |
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