舟屋が観光資源として有名な伊根町の北部に位置し、わずか10世帯の地区で町内の住民ですら訪れることのほとんどない野室へ3年前に嫁いできたのが、前野加陽(かや)さんです。加陽さんの移住で野室区は10世帯27人になりました。
加陽さんは、学生時代から関わっていた国際ボランティア団体の活動を通して、福井県の山奥の限界集落の現状を目の当たりにしていた経験もあり、嫁いですぐに伊根町野室の将来が、福井県の限界集落と重なって見えていました。そして「今ここで暮らす人が元気な間に移住者を増やさなければ数十年以内に衰退する」という想いから、行動に移します。そして平成30年度からスタートしたのが「ちょいすみプロジェクト」です。
「あんたら共働きでむっちゃ大変やん、今の仕事辞めて、伊根町に移住してきたら!」この言葉は大阪生まれの加陽さんが、自身の友人夫婦へ向けた言葉です。この一言が友人夫婦を伊根町へ移住させたきっかけになりました。
その言葉から半年後、加陽さん自身もサポートに奔走し、その友人夫婦は実際に移住することになります。その反面、伊根町に何の所縁もない人が移住に至るまでのハードルの高さや行政の移住支援の課題を彼女は理解しました。これが「ちょいすみプロジェクト」が始まった瞬間でした。
こういった経験から、『自分が友人をサポートしたように、移住者を受け入れるには行政に頼りきりにならず、よりきめ細やかな対応が必要!』と考え、移住希望者が一時的に滞在できるお試し住宅の整備を自ら始めていきました。また並行して野室住民の意識改革が重要と考え、環境に優しい洗剤の勉強会や古民家再生のワークショップを実施します。この野室集落の変化を目の当たりにし、伊根町野室で育った上野広尚君(26歳)がUターンしてきました。「(広尚君)ここ最近の野室区の活動を見てたら、自分も一緒に野室で暮らしたいと思った。加陽ちゃん達が居なければ、野室に帰ろうなんて考えなかった。」
大阪府大阪市出身。大学卒業後は家庭用品メーカーで輸出業務や海外営業を経験。結婚を機に退職し、夫の故郷である伊根町野室へ移住。公設民営の観光交流施設「舟屋日和」の立ち上げに関わり、観光客向けに舟屋の街並みの歴史を案内する伊根浦散策ガイドに従事し、外国人観光客に対しては英語で案内。現在は移住者向けのお試し住宅の整備に勤しみ、2020年のオープンを目指す。学生時代から世界を旅し、夢は外国人移民の受け入れ。
「ちょいすみプロジェクト」の核となるお試し住宅は、2020年完成予定です。詳細は決定次第、随時下記のFacebookページに情報を掲載します。
参考URL | https://www.facebook.com/ChoisumiNomuro/ https://www.instagram.com/nomurochoisumi/ |
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伊根町役場 企画観光課企画係
出身:野室区
大学卒業後、大阪市内のIT企業でエンジニアとして5年間勤務。その後伊根町野室へUターンし、現在伊根町役場勤務。公民館主事補として地元行事を企画。趣味はバンド活動、伝統芸能三番叟で舞を披露。