1階が船のガレージ、2階が居室となっている「舟屋」が約230軒連なる伊根。伊根の舟屋は、海と調和した唯一無二の舟屋の景観が観光地として注目を集めています。その伊根の舟屋から車で15分程北上した場所に位置し、伊根町の人ですら訪れる機会のほとんど無い野室区へ平成30年7月Uターンしたのが上野広尚(こうしょう)君です。
野室の良さについて広尚君に尋ねました。「集落全体が家族のように仲良しなところ。何かと理由を付けて集まってお酒を呑み交わす時間が楽しい。ほんの数年前までは、『100年後の野室は荒地になってるやろなー』と話していたが、今は確実に違う。『コスモスの種まきしよう』『草ぼうぼうの空き地を整備して展望台にしよう』『海に降りる獣道を整備しよう』と前向きな話題が宴会で飛び交うようになった。『野室オモロそうやん!』この直感がUターンの決め手でした」と語ります。
持ち前のコミュニケーション能力の高さから、Uターン後は多方面から仕事のオファーが殺到しました。子ども好きで保育士免許も保有しているため、地元の保育所でアルバイトを始めると、保護者のママ友の間では「あのお兄さんは誰。どこの子なの。」と話題騒然。
そんな中、Uターン後にできた友達で地域おこし協力隊員の高橋沙衣さんから「田舎らしい遊びを伝える『子ども塾あそぶらぼう』を整備したいから協力してほしい」というオファーがありました。児童数減少に伴い、子ども達が集まっても屋外で携帯ゲームをしているのが現状。もっと田舎らしい遊びを伝える場を作りたいという高橋さんの想いに賛同し、「オモロそうやん!」と即答で協力することを決めました。
広尚君は、より“オモロい”を嗅ぎ分けて行動します。また多趣味ゆえに興味の幅が広いので、いろんな所に出没します。本人曰く「人見知りで嫌いなものは拒絶する。」と辛めの自己分析をしていますが、相対し広尚君の人柄を前にすれば、自ずと相手が心を開くのではないかと思います。地元での職を決めずに流れに身を任せたUターンであったが、周囲が広尚君を放っておきませんでした。
地元の先輩からは、広尚君の明るい人柄が核となり、新たな試み『子ども塾あそぶらぼう』や『ちょいすみプロジェクト』など、今では町内だけで7件の仕事を受け、携わる事業の輝度を上げる「ムードセラピスト」としての可能性に期待を寄せられています。
伊根町野室区出身。保育士の資格保有。以前は豊岡市で保育所勤務や建設現場作業に従事。現在は伊根町立本庄保育所でアルバイト。「子ども塾あそぶらぼう」の立上げ支援を実施中。趣味は音楽、映画鑑賞、キャンプ、バドミントン、寺社巡り、食べられる野草採取。
伊根町役場 企画観光課企画係
出身:野室区
大学卒業後、大阪市内のIT企業でエンジニアとして5年間勤務。その後伊根町野室へUターンし、現在伊根町役場勤務。公民館主事補として地元行事を企画。趣味はバンド活動、伝統芸能三番叟で舞を披露。