半農半Xという言葉をご存知ですか?
自給自足(=半農)をしながら、ミッションや天職、ライフワーク等の天賦の才(=半X)を通して積極的に社会に関わりながら生きるという概念です。人生100年時代、パラレルキャリア、ワークライフバランス・・・。これからどう生きていくべきか国を挙げて考える中、等身大で豊かに暮らしたいという人に共感されています。しかしこのコンセプト、実は20年近く前に生まれたもの。時代を先読みし提唱したのは、今回ご紹介する塩見直紀さんです。
塩見さんは大学卒業後に東京の大手通信販売会社(?フェリシモって書いて大丈夫?)に勤めた後、Uターンで綾部市に戻ってきました。その時、33歳。人生設計を考える時、誰もが一度節目として真剣に将来を考え直す年齢かと思います。30歳頃に偶然読んだ星川淳さんの「半農半著」にヒントをもらい、21世紀の生き方「半農半X」を実践するべく綾部市での生活をスタートしたそうです。
塩見さんはこう言います。
「雑多な情報が錯綜している都会で暮らしていると、天賦の才に気付きにくいかもしれません。生物学者レイチェル・カーソンの著書に自然と関わることの大切さを説いた『The Sense of Wonder(自然の神秘さに目を見張る感性)』があります。季節のうつろいや花の香り等、日常の小さな変化に気づき、感動できる感性は、自らの天職発見に大事な役割を果たします。地方にはその感性を磨くことができる環境にあふれています。」
その言葉からは、地方に暮らすことで人生の価値や幸福を見つめなおすいい機会になることを予感させられます。
とはいえ、自分の天賦の才=Xを見つけるのが難しく感じられる方もいるでしょう。見つけられず焦ることもあるかもしれません。そんな時は誰かのXを応援するXもあると思ってみる。地方で(の生活)は、こうしたXがかえって必要だったりします。
今後、地方の市町村はただ移住者の数を増やすのではなく、自然・人・伝統技術など豊富にある地域の資源を新たな取り組みや事業に生かせる人、新しい価値を生み出す創造力のある人を求めていると聞きます。塩見さんも、「会社を起こして新たな雇用を生み出すなど、都会で積んだキャリアを生かして京都府北部に貢献してほしい」と移住検討者に大いに期待を寄せています。
「都会から地方へ移住を検討されている方の多くは、人との繫がりを大事にしたいと思っているように見受けられます。自然と人、人と人。繫がりを大事にする地方は、繫がりを求める時代の先端の場でもあります。ぜひこの京都府北部で、もてる力を存分に発揮してほしいですね。」
1965年、京都府綾部市生まれ、同市在住。21世紀の生き方、暮らし方として、「半農半X (エックス=天職)」というコンセプトを20年前から提唱。総務省地域力創造アドバイザー、福知山公立大学特任准教授。
『じぶん資源とまち資源の見つけ方』
綾部ローカルビジネスデザイン研究所編・発行 ¥500
『半農半Xという生き方【決定版】』
ちくま文庫 ¥821
URL | http://www.towanoe.jp/xseed/ |
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参考URL | ▼スポットやサービス、商品の情報 21世紀の暮らし方として提案された「半農半X」。この考えをまとめた著書「半農半Xという生き方【決定版】」と、 自分と自分の住む街の資源が何かを見つけるための17のオリジナルワークがまとまった「じぶん資源とまち資源の見つけ方」。 本を読んで自分自身や街についてとことん向き合ってみては。 |