福知山市で古民家を改装したゲストハウス「ふるま家」を営む沢田さやかさん。アメリカの大学を卒業後、横浜の外資系出版社に勤めていた沢田さんがゲストハウスを営むことになったのは、仲間たちとの旅行がきっかけだったそう。
「脱サラ後、たまたまアメリカ人や日本人の友人を連れてアレックス・カー氏が手がける徳島県東祖谷の茅葺きの古民家『篪庵(ちいおり)』へ行く機会があったんです。そこは囲炉裏を囲みながら食事ができたり寝泊まりしたりできる、非常に素朴な施設なのですが、『日本の暮らしを体験できた』と好評で」
元々外国人とのつきあいも多く、自宅でホームパーティや社交グループを作ってイベントを開催していたこともあり、「英語能力が活かせるし、文化交流もできて自分も楽しめる。私がやりたいことってこれかも!とひらめきました」
思い立ったら即実行派の沢田さんは、翌日から(!)物件探しを開始。自身の出身地でもある京都府内で、「篪庵」の雰囲気に似た改修可能な茅葺き屋根の古民家を重点的にリサーチ。そして「家の佇まいも景観も理想的」な物件と出会い、導かれるように福知山への移住を決めたそう。
「改修は家族の力を借りながら、2年ほどかけて行いました。オープン後はまずカフェとしてランチやお茶を提供。同時にWEBの立ち上げや、ブッキングサイトに登録して、少しずつ宿泊客を増やしていきました」
現在は宿の運営のほか、月に一度子連れ家族向けの英語教室「英語カフェ」や不定期でイベントを開催。ふるま家で知り合い、結婚したフランス人の夫、ニコラさんとの間に長男のテオ君も誕生しました。
「都会で忙しなく暮らしているといつの間にか日が昇って、いつの間にか沈んでいるでしょう?福知山で自然に寄り添った生活を送っていて、人間らしい暮らしができている気がして。当たり前のことがしみじみとうれしいんです」
結婚、出産を経て働き方も少しずつ変わってきたと話す沢田さん。以前は宿の運営のため、自分の時間を削って働いていたこともあったそうですが、「夫から自分たちの時間を持つことの大切さを教わって。家族との時間を大切にする、休暇はきちんと取る、夜8時以降はインターネットを使わないなど、オンとオフをしっかり切り替えるようになりました」
家族との時間を確保するために、2年前から営業日を短縮。11月いっぱいで宿の営業を終え、冬の間は宿の家のメンテナンスをしたり、家族でフランスへ長期帰省したりと、長い休暇を満喫するそう。
「営業日数は減りましたが、予約日を同期間に固める、イベントを開催するなどの工夫をすることで収入的にはほぼ変動なし。これからは野菜作りにもさらに力を入れて、自給率を高め生きたいと考えています」
京都府京田辺市出身。アメリカの大学を卒業後、日本の大学院を経て横浜の外資系出版社に勤める。2007年の退社後、外国人の友人たちとの旅行きっかけにゲストハウスの運営を決意。福知山市三和町の古民家に移住し、2012年、農家民宿「ふるま家」を開業。
江戸時代に建てられた茅葺屋根の古民家を改修した農家民宿。無農薬・無化学肥料で育てた畑の野菜や自家製米、地元で採れた新鮮な食材を使った素朴な家庭料理が楽しめるほか、野菜の収穫やお茶体験といった様々な文化体験もできるゲストハウスとして人気を集める。「外国語で対応できるゲストハウス」として、海外からの宿泊客も多い。
場所 | 京都府福知山市三和町上川合156 |
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価格 | 電話:0773-58-2236 1泊2食付き24,000円〜(季節、人数などにより異なる) チェックイン15:00/チェックアウト10:00 |
URL | https://www.furumayahouse.jp/ |